米国の経済指標に気をつけて
―― 衆院選の動向をにらんで、石川さんはどのようなシナリオを描いていますか。
石川氏「与党が過半数議席を確保すれば、まず週明けの為替市場は『アベノミクス継続』の安心感から、いったんは円安に振れる公算です。ただし、事前の予想どおりということもあり、選挙結果を受けた円安は一時的なものにとどまるでしょう。
その一方で、万が一、与党が過半数を確保できない事態となれば、市場では失望感から大幅に円高が進むと見られます」
―― 週明けには「決着」がつきます。選挙後の対応を含め、FXトレーダーへのアドバイスをお願いします。
石川氏「アルゴリズム取引などが取引の大きな部分を占めるなか、大型イベント直後の荒い値動きについていくのは困難です。それよりも、大型イベントの前の、市場が『イベント当日に向けて、予想される結果を事前に織り込んでいく動き』を察知し、それに『ついていく』かたちのほうが、極端なリスクを避けて着実に利益を積み重ねていくことができると考えられます。
今回の衆院選後、ドル円相場は米国の12月利上げの有無や2018年の利上げのペースなどを見据えて、米国の経済指標を確認していく相場に戻っていくと考えられます。市場のムードを日々確認しながらリスク管理を行い、着実に利益を積み上げていけるよう、心がけるといいと思います」
―― 衆院選後は、米国の利上げのタイミングに要注意ということですか?
石川氏「はい。米国の経済指標は気をつけてウォッチしておく必要があると思います」
プロフィール
石川 久美子(いしかわ・くみこ)
ソニーフィナンシャルホールディングス 金融市場調査部 為替アナリスト
商品先物専門紙での貴金属や外国為替担当の編集記者を経て、2009年4月に外為どっとコムに入社し、外為どっとコム総合研究所の立ち上げに参画。同年6月から研究員として、外国為替相場について調査・分析、レポートや書籍、ブログ、Twitterなどの執筆、セミナー講師、テレビやラジオなどのコメンテーターとして活動。2016年11月から現職。外国為替市場の調査・分析業務を担当。
(おわり)(編集企画)