衆院選の投開票日まで、あと2日。与・野党入り乱れ、候補者たちは「最後のお願い」に奔走中だ。新聞各紙の世論調査では「与党優位」が伝えられているが、選挙がゲタを履くまでわからないのは、2016年のBrexitや米大統領選のとおり。週明けの為替相場が大きく揺れる場面はあるのか、気になるところだ。
ソニーフィナンシャルホールディングス(HD) 金融市場調査部・為替アナリストの石川久美子氏に選挙後の見通しを含め、話を聞いた。
世論調査の与党300議席で、多少動きも......
―― 今回の衆院選と為替相場の関係を、どのように見ていますか。
石川 久美子氏「長い歴史の中で、選挙の結果と為替の反応の間には、一定の傾向は見られていません。しかし、第二次安倍内閣に限れば、過去2回の選挙後は円安方向に進んでいます。アベノミクスの継続は日本経済にとってプラス、と市場は認識しており、今のところ株高・円安で反応しています。
今回の総選挙に絡むと、これまでの為替相場はほとんど動きが見られません。というのも、政権与党が過半数議席を割る可能性は低いと見られており、『アベノミクスが終わるかもしれない』という恐怖感を抱く市場参加者があまりいないためです。『これまで』と『これから』の道筋に変化が起こる可能性が低いならば、為替市場としては特段新たな行動をする必要がないといえます。
公示後の10月11日に新聞各紙が行った世論調査で、与党の議席数が300議席に迫る可能性が示唆された際には、多少円が売られる様子も見られましたが、一時的かつ限定的な値幅にとどまりました」
―― 今回の衆院選を、海外投資家らはどのように見ているのでしょう。また、すでに行動に移している様子はうかがえますか。
石川氏「今回の日本の総選挙では、『アベノミクス継続』との見通しが大勢を占めており、海外を含めて為替相場においては、これを材料にするトレードはほとんど見受けられません。
ただ、選挙は当日まで何が起こるかわかりません。2016年のBrexitやトランプ氏の大統領当選のような、大番狂わせが起こる可能性を完全に否定することは困難です。そのため、今週は積極的にリスクを取るような取引が手控えられる様子が見受けられます」