「言い回し」の工夫で人は動く 「期待以上」を引き出す一言(高城幸司)

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「来週までにExcelで財務情報をまとめなければいけないが、自分一人では間に合わない。Excelが得意な○○さんに手伝ってほしい」

   仕事をするうえで、自分だけの力では十分な成果が見込めないとき、誰かにヘルプを求めることになります。直属の部下やで、職務上あなたの指示に従うべき人に対してであれば問題はないのですが、直接の上下関係にない人や、他部署の人に助けを求めたいときにどうすればいいのでしょうか――。

  • 相手の意欲を引き出す「伝え方」がある
    相手の意欲を引き出す「伝え方」がある
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「誰でもできる」は相手の自尊心を傷つける

   いきなり他部署の知らない人に「助けてくれ」「手伝ってほしい」と頼んでも、あまり期待できないことは想像できるでしょう。こんなときのために、いろいろな部署に「味方」をつくっておく必要があります。

   そうすれば、あなたの仕事のパフォーマンスは、何倍にもアップするはず。ただし、「味方」だから無条件にあなたのことを助けてくれるわけではありません。社外の人は利害関係で動きますが、社内は身内のように見えて、じつは「赤の他人」。実態としては社外の人と変わらないのに、お金で動かすことはできない存在です。だからこそ、社内の人たちを上手に巻き込んでいく作法が求められるのです。

   大事になるのは「伝え方」です。依頼した仕事は、高い質で、しかも期限どおりにやってもらいたい。とはいえ、いくら味方になってくれたといっても、常に期待どおりの結果になるとは限らない。引き受けてくれたときは意欲的でも、途中で状況が変わったり、気分が乗らなくなったりして、仕上がりが期待したレベルに届かないこともある。

   そうならないようにするためには、相手がコミットするときの心理状態を、次のようにしておかなければなりません。

「ぜひ、この仕事をやらせてほしい。任せてください。がんばります」

   そうであれば、難易度が低いことを強調し過ぎてはいけません。何かをお願いする、手伝ってもらう側としては、引き受けてもらいたいがために、次のように仕事の難易度が低いことを強調しがち。

「ここにやり方が書いてあるので、このとおりにやってくれれば問題ないよ」

   仕事のハードルを下げて、引き受けることへの抵抗をなくそうとした言葉であり、言っている本人には悪気はありません。しかし、場合によっては相手の気分を害してしまう恐れがあるのです。

   相手が負担感を感じないように、あえて使った「誰にでもできる」「簡単な」という言葉が、相手の自尊心を傷つけ、「だったら自分でやれば」という反発心を生んでしま可能性があるのです。

高城幸司(たかぎ・こうじ)
1964年生まれ。リクルートに入社し、通信・ネット関連の営業で6年間トップセールス賞を受賞。その後、日本初の独立起業専門誌「アントレ」を創刊、編集長を務める。2005年に「マネジメント強化を支援する企業」セレブレインの代表取締役社長に就任。近著に『ダメ部下を再生させる上司の技術』(マガジンハウス)、『稼げる人、稼げない人』(PHP新書)。
「高城幸司の社長ブログ」
株式会社セレブレイン
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