わが家には最近「無印良品」の商品が増えてきている。長袖シャツ、毛布、シーツなどの衣料品、パスポート入れやポーチといった旅行用品やファイルボックス(文房具)などの生活雑貨、ほかには扇風機など、けっこうあった。
散歩がてら歩いて行ける距離に、ダイエーやイトーヨーカドー、ユニクロなどの店舗が数多くあるのだが、そうした中で衣料品や生活雑貨、食品を取り扱う「無印良品」もある。その店舗は、大手スーパーと比べると規模の小さな店舗が多いようだが、その分商品の選びやすさ、買いやすさがあるのもいいと感じている。
中国、インド、巨大市場へ打って出る「無印良品」
「無印良品」の商品は、大手スーパーのプライベートブランドやカジュアル衣料のユニクロなどと比べて、とくに価格が安いというわけではないが、デザインがシンプルで素材もよく、安心して購入できる。買い物するとき、最初に見るのはデザインと機能性。次に、生地(綿100%など)などの素材をチェック。そして最後にメーカーと価格を見て、リーズナブルかどうかを確かめ、買うかどうかを判断するようにしているのだが、「無印良品」の商品は実際に使ってもその期待を裏切らないと個人的には思っている。
そんな「無印良品」を展開する良品計画の2017年3~5月の連結営業利益は、前年同期比5%増の120億円。国内の生活雑貨や食品の販売が好調なほか、海外では中国の伸びがけん引する。良品計画は売上高の4割を海外が占めており、なかでも中国は店舗数が200店舗に達し、日本に次ぐ規模になっている。
さらに、5月13日付の日本経済新聞によると、良品計画はインドで地元財閥のリライアンス・インダストリーズ(RIL)との提携を深め、同社の協力を得て商品を現地で調達。売り場が従来店の約2倍の旗艦店を出店する、とあった。
2016年に進出したインドでは、インド最大の商業都市であるムンバイ市とIT産業の中心地であるベンガルール市へ、日本の小売業として初めて出店した。記事によると、売り上げは「客単価が日本の2倍以上」と好調。「高コストなどの問題を(RILとの)二人三脚で克服し、市場開拓を加速する」としている。
良品計画は、51%出資する合弁会社をRILと組むことで、日本の小売業の「先鋒」としてインドに進出した。インドでは欧米のファッションブランドも多く、消費者の選択肢は豊富とされる。なにしろ、いまや中国も凌ぐ、13億人の巨大市場。おそらく、ユニクロを運営するファーストリテイリングほか、インド進出を模索する小売業は、良品計画の戦略の成否を「お手並み拝見」とばかりに注視しているはずだ。
拝啓 良品計画様 株式分割のご検討をお願いします。
国内に目を向けても、2017年7月6日付の日本経済新聞には、「『無印』ホテル国内初進出」の見出しが躍った。良品計画が、東京・銀座に世界最大の旗艦店を2019年春に開業するというのだ。
東京メトロ・銀座駅から徒歩2分ほどの並木通り沿いに開業。読売新聞東京本社と三井不動産が開発する地上10階建てのビルに入居し、地下1階~地上6階を無印良品、6~10階を「MUJI HOTE」(仮称)が入居する。ホテルの運営は小田急電鉄の子会社UDS(東京・渋谷)が担い、良品計画は内装デザインの監修のほか、自社商品のベッドやシーツ、歯ブラシなどを提供するという。海外では年内にも中国・北京や深センで「MUJI HOTEL」が開業するそうだ。
ホテルを運営するとなると、「門外漢」の多角化経営と、批判する向きもあるのだろうが、「餅は餅屋」。自らはプロデュースに専念するというのであれば、外から見ていても、企業の進もうとしている方向性がよくわかるというもの。この姿勢に、好感を抱いた。
とはいえ、難点もあった。良品計画は、今後も成長が見込める数少ない有望銘柄と考えているが、この良品計画株を買うには、最低でも100株で300万円強の金額が必要となる。
さすがに一つの銘柄で300万円以上が必要となると、個人投資家にはなかなか手が出ない価格ではないか――。良品計画が取り扱う商品は衣料雑貨であり、個人が主たるターゲットのはず。その個人が会社の商品や業績を評価して、株式を購入したいと思っても高くて買えないのは、なんとも残念でならない。
東京証券取引所は株式投資の窓口を広げる狙いから、最低投資金額を5万円以上50万円未満にするよう企業に求めている、という新聞記事もあった。良品計画には、できれば株式分割して、100株30万円くらいまで。そこまでいかなくても、しがないサラリーマン投資家が買えるような価格になればうれしいのだが......
良品計画様、いかがでしょうか?(石井治彦)
2017年10月13日現在 0株保有
年初来高値 2017/09/14 3万4550円
年初来安値 2017/02/08 2万0160円
直近 終値 2017/10/13 3万3200円