衆院選は2017年10月22日の投開票日に向けて、本格的な選挙戦に突入した。立候補の届け出は1,180人。街には選挙カーが走りまわり、マイクを手にした党首や候補者らが「一票」を訴えている。選挙はマーケットを揺るがす、大きな材料でもある。今回の衆院選が外国為替市場にどのような影響を及ぼすのか――。
FX大手のセントラル短資FX市場部長、水町淳彦氏に「選挙相場」のゆくえを聞いた。
希望の党の躍進でも、市場への影響は限定的か。
―― 今回の衆院選は、為替相場にトレンドを起こすような、そんなきっかけになるでしょうか?
水町 淳彦氏「過去の例から考えても、今回の衆議院議員総選挙は為替や株式市場に少なからず影響を与えるとは思います。しかし、それは中長期にわたるトレンドをつくるようなものではなく、あくまで短期的なものにとどまるのではないでしょうか。
大きなトレンドは、選挙の結果よりもその後に実施される政策によって生まれます。2012年12月に誕生した安倍晋三内閣の経済政策であるアベノミクスが好例です。アベノミクスは2年以上にわたり円安・ドル高相場をけん引し、80円台だったドル円相場は125円付近まで上昇しました」
―― 水町さんは為替相場がどのように動くと予測していますか。
水町氏「FXトレーダーにとって、選挙の結果は非常に気になるところだと思います。市場関係者の間では、自民党が圧勝した場合は円安・株高方向に動くという見方が一般的です。これまでの政策から大きく変化しない分、経済の先行きが予想しやすく、安心感が広がると思われるからです。
また、小池百合子氏が代表を務める希望の党が躍進した場合も、政策は自民党に近いため、市場に与える影響はそれほど大きくないかもしれません。希望の党が自民党以上の経済政策を考えるなら、希望の党が勝利した場合も円安に振れるのでは、と予想するディーラーもいます。
サプライズは、自民党の惨敗でしょう。立憲民主党が大躍進した場合は、円高・株安の方向に進むという見方が多いですが、2016年秋の米国大統領選挙でドナルド・トランプ氏が勝利した時のように、市場は予想外の動きを見せる可能性もありますので、注意が必要です」
FXトレーダーは投開票日前にポジション整理を
―― FXトレーダーが注意すべきことを教えてください。
水町氏「冒頭でお話したとおり、選挙結果が為替市場に及ぼす影響は短期間のものになりそうです。結果が出てから数日、短ければ数時間でそのエネルギーは市場に吸収されてしまうかもしれません。
総選挙の結果を見てからトレードする場合、乗り遅れる(投資のタイミングを見誤る)と思わぬ損失を被る可能性がありますので、要注意です。
また、特にFX初心者の方に気を付けていただきたいのが、投開票日である10月22日が『日曜日』であるという点です。もし、サプライズが起こった場合、週明け月曜日の早朝のマーケットは、前週金曜日の終値から大きなギャップが発生する可能性が高くなります。偏ったポジションを持ち越してしまうと、思わぬ損失を抱えてしまうこともありますので、投開票日前の最終営業日である10月20日、金曜日の時点でポジションを整理しておくことをオススメします」
プロフィール
水町 淳彦(みずまち あつひこ)
セントラル短資FX 市場部長
明治大学政治経済学部卒業後、証券会社勤務を経て2006年にセントラル短資FXに入社。市場部でディーリング業務に従事、2016年に市場部長。日々のディーリング業務のモニタリング、カバー取引先などとの折衝などに飛びまわる。1967年、埼玉県生まれ。
(編集企画)