40代で英語のやり直しを決意した時、思い切って「ラジオ講座」をやめました。
中学時代の「基礎英語」から始まって、「英語はラジオ講座で」と育てられた世代です。さんざん悩んだあげくにテキストに手を伸ばさなかった理由はたった一つ。私にとってラジオ講座は「遠回り」だったからでした。
秘策その15 むやみに「ラジオ講座」に飛びつかない
みなさんの中でも、「英語を学ぼうと思ったら、まず、ラジオ講座のテキストを買う」という方は多いのではないでしょうか?
今ほど英語の音声教材が手軽ではなかった時代には、ネイティブの美しい発音が聞けて、1か月のコストがたった数百円(テキスト代)のラジオ講座は英語学習の「救世主」でした。私自身、恥ずかしながら、毎年4月になるとラジオ講座のテキストを買って、5月には早々に挫折する、というパターンを30年以上繰り返してきました。
私にとって、「英語の学習」イコール「ラジオ講座」だったのです。
英語のやり直しを決意した時も、初めは「ラジオ講座」からスタートしようと思いました。ところが、試しにいくつかの番組を聴いてみましたが、なぜかしっくりきません。
どの番組もリスナーが飽きないような工夫が凝らされているのですが、何だかまどろっこしい。そのうちに、「私が必要とする英語」と「ラジオ講座が提供する英語」が一致しないことに気がつきました。
ひと言でいえば、私のニーズに合わなかったのです。
私の場合、TOEIC L&Rを受験しながらビジネス英語を身につけることが目的でしたが、「TOEICにラジオ講座は遠回り」でした。
まず、ラジオ講座のテーマがTOEIC向きではありませんでした。
ラジオ講座では、あるテーマについて、さまざまな意見が述べられたり議論が展開されたりしますが、TOEICでは見かけない世界経済や貿易といった大所高所に立った話題だったりします。友人との雑談や旅先での会話を想定した「日常英会話」も、TOEIC向きではありませんでした。
また、リスニング対策としても中途半端でした。
約20分の講座のうち、英語の音声を聞く時間は半分足らずで、残りの時間は日本語の解説です。とりわけ人気タレントを起用している「テレビ講座」は、大部分が日本語のおしゃべりで英語はVTRで少し流れるだけ、という番組もありました。
ラジオ講座もテレビ講座も手軽で万人向きではあるけど私には中途半端。それなら、TOEICリスニング問題集を20分聞く方がよほど効率的だと思った次第です。
たった20分でも、続けることが難しかった!
これまた私の意志の弱さを露呈するようでお恥ずかしいのですが、毎日(もしくは週に数回)、決まった時間にラジオ講座を聴く、ということができませんでした。
平日の夜は不意の残業や取引先との会合があって、なかなかスケジュールを確保できません。「今日こそはラジオ講座を聴くぞ!」と意を決した日ほど、なぜかトラブルが発生して残業になる。「録音」や再放送サービスならいつでも聴けると思っても、ついつい後回しになってデータがたまる一方です。
たった20分程度でも特定の時間を拘束することがいかに難しいか...... 無理をしてラジオ講座を続けるよりも、自分の生活パターンに合わせて臨機応変な学習プランをたてるほうが持続可能だという結論に達しました。
ラジオ講座よりも、「毎朝30分、TOEICの問題を解く」ほうが、私のニーズには合っていたのです。
最近のラジオ講座はメニューが豊富で魅力的な番組が多くなりました。とはいえ、みなさんも「とりあえずラジオ講座」という先入観で飛びついてしまう前に、ちょっと立ち止まってご自身のニーズに合っているかを考えてみることをオススメします。(井津川倫子)
今週のニュースな英語 ~ 映画「ドリーム」で学んだ「夢を実現する方法」! ~
話題の映画「ドリーム」を観ました。
NASA(米航空宇宙局)で初の有人宇宙飛行を裏で支えた実在の数学者、技術者ら黒人女性3人に光を当てた実話に基づく内容で、舞台は1960年代。まだコンピューターもない時代で、最新鋭の技術を誇るNASAでさえ、鉛筆を片手に計算をこなす「計算係」の黒人女性たちが活躍していました!
白人男性とほんのひと握りの白人女性に囲まれて、さまざまな差別に合いながらも実力を頼りに一歩ずつ這い上がる3人の黒人女性。偏見と固定観念に満ち溢れた世界で、主人公の一人が言い放った言葉が強烈に印象に残りました。
There is more than one way to achieve goals.
目的を達成する方法は一つじゃない!
実際、彼女たちは白人男性たちとは「別の発想」で成功をもたらしましたが、現実の世界でも柔軟な発想ほど強いものはありません。
固定観念に凝り固まった上司や、発想の転換ができない会議メンバーに「There is more than one way!」(他にもやり方はある!)と投げかけてみてください。