長期金利、上昇傾向に転じる 衆院選、きょう公示

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   安倍晋三首相が2017年9月下旬に衆院解散を表明して以降、長期金利が上昇傾向にある。

   きっかけは、政府与党が消費増税分の一部を借金の穴埋めから子育て支援に回すことを選挙公約に掲げたこと。さらに、東京都知事の小池百合子氏が率いる希望の党が「消費増税の凍結」を掲げたことで、いずれが選挙に勝っても財政再建が遠のき、日本国債の信用が低下する懸念が強まったからだ

  • 財政再建はどうなるの?
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どの政党も「財政再建」は二の次......

   安倍首相が2017年9月25日に衆院解散を表明。消費税の増税分の使途変更を明らかにすると、長期金利の指標となる満期10年物国債の利回りは、9月22日の0.02%から、衆院が解散した28日には0.06%に上昇。10月3日には一時、約2か月ぶりの水準の0.08%を付けた

   消費税は現在、19年10月に8%から10%への引き上げが予定されている。自公与党は増税分の一部の使い道を、幼児教育の無償化に変更。これにより、政府が目標としてきた「基礎的財政収支」(プライマリー・バランス)の20年度の黒字化は「困難」となった。

   一方、希望の党も「消費増税の凍結」を掲げ、立憲民主党も「現下の経済情勢では国民の理解は得られない」と、消費増税による消費の腰折れを防ぐ考えを示している。どれをとっても、「財政再建」は二の次だ。

   今のところ、長期金利は日本銀行が「ほぼゼロ」に操作しており、金利上昇は抑えられている。しかし、「財政再建」の道筋が立たなければ、いつ長期金利が上昇(日本国債の価格下落)するリスクは高まる可能性は否定できない。

   17年10月6日、新発10年物国債の利回りは上昇(価格は下落)。前日比0.010%高い0.055%で取引を終えた。日銀の国債買い入れオペ(公開市場操作)が債券需要の緩みを示す結果と受け止められたほか、このところ米国債相場の下落基調が続いたことも国債の売りにつながったとされる。

   長期金利が上下すると、為替相場の動きにも影響を与える。一般に、長期金利が上昇(国債価格が下落)すると日本円が買われ、長期金利が下落(国債価格は上昇)すると売られる傾向にある。

   衆院選はきょう、10月10日に公示された。

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