貧困高齢世帯は「4世帯に1世帯」
とはいえ、この判断は本当に妥当なものなのだろうか――。母子家庭の代名詞だった「生活保護家庭」は、いまや母子家庭を抜いて高齢者世帯がトップになっており、年々その数は増加している。
厚生労働省の「国民生活基礎調査」から、無年金世帯と主収入を年金・恩給に頼る低所得(年収200万円以下)世帯数を概算すると、「貧困高齢者世帯」は1997年には211万世帯だったが、それが2012年には倍以上の445万世帯に増加している。
すでに、高齢者世帯(1327万世帯、2016年現在)の4世帯に1世帯が「貧困高齢者世帯」ということになる。
同じく厚労省の「国民年金被保険者実態調査」によると、1940年代後半生まれの団塊の世代では、年金未納・免除者率が30%程度であるのに対して、それ以降は1950年代前半生まれ(65歳前後)で35%前後、50年代後半生まれ(60歳前後)で45%前後、60年代前半生まれ(55歳前後)で40%台後半と上昇する。
当然、年金保険料を納めていないのだから、受給できる年金額はわずかしかない。これから貧困高齢者は確実に増加していくのだ。
これらは、「生活保護の予備軍」でもある。受給年齢を引き下げるならまだしも、先延ばしするのでは、あまりに実態にあっていない。こうした事実を理解したうえで、今後の高齢者社会対策が検討されているとは思えないのだ。