ビットコインは「通貨」や「有価証券」ではない
じつは仮想通貨の税務については、数年前からどのような取り扱いをするのか、議論を呼んでいた。税務当局からは、仮想通貨取引による利益が所得税の対象となるとの方向感は示されていたものの、利子所得なのか、配当所得なのか、一時所得なのか、はたまた雑所得なのかは明確になっていなかった。
ただ、2014年3 月に閣議決定されたビットコインに関する質問主意書に対する答弁書では、
(1)ビットコインは、通貨の単位および貨幣の発行等に関する法律、日本銀行法や民法の規定による通貨に該当せず、外国為替および外国為替法の規定による外国通貨にも該当せず、その他の法律においても、ビットコインを通貨の定義に含めている規定は存在しない
(2)ビットコインは通貨ではなく、それ自体が権利を表象するものでもないため、ビットコイン自体の取引は、銀行法に規定する銀行業として行う行為ではなく、金融商品取引法に規定する有価証券等の取引には該当せず、その他の法律にもビットコインを明確に位置付けているものは存在しない
(3)ビットコインを対価として債務の弁済に使用することを一律に禁止する法律は存在しない
(4)ビットコインによる取引については、所得税法、法人税法、消費税法等に定める課税要件を満たす場合には、課税の対象となる などと定義していた。
つまり、政府は、ビットコインを通貨や有価証券ではなく、たとえるなら「モノ」として位置付ける方針であったようだ。その結果として、仮想通貨取引による利益が「雑所得」と区分されるに至っている。