起死回生となった「古臭い」活動
「たまたま、うちはものづくり企業だったので、古臭いと言われながらも代々QC活動が脈々と続いていましたから、それをうまく使えないかと。部長たちの発案でした。果たしてうまくいくものか、はじめは疑心暗鬼でしたが、やってみて、続けてみて、驚いたことに効果はテキメンだったのです」
お互いをよく知ることで、相手に対する誤解は解け、相手の立場でモノが考えられるようになる。かつ、相手の強みを認識することで、それをどのように相互協力したら最大限に活かすことができるのか。そんな発想に移行していく中で、T社、元G社それぞれの社員は、徐々に打ち解け一体感を増していったと言います。
「元G社の社員が自ら希望して、自分の経験をもっと活かすためにT社の既存事業部に異動したいという申し出があったときには、本当にうれしかった。『褒める』ことの効用は素晴らしい、と改めて実感した次第です」
T社のこのケースはM&Aという、本当に難しい異文化融合の局面での起死回生策でしたが、このやり方は社内でもよくある技術と営業、あるいは企画と現場のような対立構造になりやすい組織内不協和音の解消にもってこいなのではないかと思いました。
それと同時に、そんなお悩みが絶えない企業も複数頭に浮かんだので、さっそく話してみようと思います。(大関暁夫)