イマドキ「10年我慢しろ!」はない 若手に「権限移譲」しなさい(江上剛)

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   離職率が高く、社員(とくに若手)が居つきません。そのため1年中、採用活動をしているような状況です。最近は売り手市場で、なかなか人が集まらないこともありますが、おかげで業績は悪くないので、給与を上げることができます。ただ、人手不足で満足いく休日を与えてあげることができません。福利厚生といっても、中小企業ではやれることが限られています。なにか、いい繋ぎとめ策はないでしょうか。

   昨今の人手不足の状況は深刻で、さすがによいアイデアは思いつきませんね。

  • 退職者が絶えません……
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給料が高くても社員は満足しないもの

   そんな即効性のあるアイデアがあるならどの企業も採用していますからね。

   若手社員は、大企業でも1年から2年で3割は辞めてしまうと言われていますから、中小企業だから若手が定着しないということはないと思います。

   私が勤務していた銀行でも、入行後1年か2年では1割は辞めていました。やっと入社した銀行ですが、どうしても行風に合わない人がいるということですね。

   繋ぎ止め策で考えられるのは、第一に給料、第二に処遇です。

   でも、どんなに給料を高くしても社員は満足することはありません。だいたい自分に対する評価というのは他人の評価の2割増しと言いますから、たとえば月給100万円(こんなにもらえれば何も言うことがありませんが)支給しても自分の評価は月給120万円なのです。だから不満をいいます。

   あなたは「こんなにしてやっているのに」という「のに」病にかかってしまいます。

   この「のに」病は苦しいです。「○○したのに」「○○してあげたのに」と、何事につけて「のに」と思ってしまうと、腹立たしくて悔しくて夜も寝られなくなるんです。

   次に処遇ですが、これも給料と同じで休みを増やしても、社宅を充実させても、これで満足ということはありません。

   ここでもあなたは「のに」病に苦しむことになるでしょう。

江上 剛
江上 剛(えがみ・ごう)
作家。1954年兵庫県生まれ。早稲田大学卒業後、第一勧業銀行(現・みずほ銀行)入行。同行築地支店長などを務める。2002年『非情銀行』で作家としてデビュー。03年に銀行を退職。『不当買収』『企業戦士』『小説 金融庁』など経済小説を数多く発表する。ビジネス書も手がけ、近著に『会社という病』(講談社+α新書)がある。
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