2017年7月、九州北部を襲った豪雨に、北海道や東京の猛暑。ところが、東京では8月に入ると40年ぶりに21日連続の雨、雨、雨...... 悪天候に見舞われた2017年の夏が終わろうとしている。
そんな激しい気候の変化が野菜を直撃。長雨や日照不足から生育不良となり、野菜の価格が高騰している。
驚きのキュウリ62%、ピーマン52%上昇
農林水産省の「青果物卸売市場調査」(2017年8月23日発表)によると、長雨や日照不足による影響で、主要卸売市場での夏野菜の平均価格(8月中旬、11~20日)は、キュウリが1キログラム318円となり、前年同期と比べて62%も上昇した。ピーマンは386円で52%も、キャベツも94円で25%も値上がりしている。
いずれも7月下旬(21~31日)は前年を1~2割下回っていたが、8月の悪天候で出荷量が減少して、価格が上昇に転じた。
自然素材を用いた健康補助食品の販売などを手がける「ネオベジ」が、働く主婦層にアンケート(8月24日?9月6日、未婚・既婚の女性925人が対象)したところ、「野菜の高騰で家庭に影響が出ている」と答えた人は54.5%にのぼった。
「影響が出ていない」は33.4%、「わからない」は12.1%だった。
野菜はカロテンやビタミンC、カリウムに葉酸、食物繊維など人のからだを健やかに保つための栄養素が数多く含まれている。価格が高いからといって、「今日は野菜ナシ」というわけにはいかない。
調査では、野菜の価格高騰にどう対策を立てているか、聞いてみると、「安いスーパーなどを探してなるべく安く買う」が36.2%。苦肉の策として「量を減らして買う」は23.1%、背に腹は替えられず「仕方がないので買う」は18.2%、「買うのをためらう」14.6%、「その他」は4.4%だった。
「我慢して野菜は買わない」という人も、3.5%いた。
「SNSのオシャレな料理はたいてい実家暮らし」?
一方、調査で「家庭でできる工夫」を聞いてみると、「冷凍野菜を使う」が最も多く42.2%だった。次いで、「野菜の栄養を補う別の食材を使う」が19.7%、「野菜を使った料理を減らす」19.4%、「作り置きして小出しにする」が16.5%、「特に何もしない」は16.3%、「その他」9.3%、「栄養サプリや補助食品を食べる」と答えた人も4.4%あった。
主婦層に限らず、野菜の価格高騰に悲鳴をあげている人は多く、ツイッターをみると、
「野菜たち高い高い......」
「野菜が高いのでベランダ農園」
「(お弁当の写真とともに)『肉より野菜のほうが高いんだぜ』弁当です。残すなよw」
「ラーメン屋さんでの野菜トッピング頼むけど、むしろもう麺なし野菜だけでお願いしたいところ」
「SNSにめちゃくちゃ凝った料理や野菜たっぷりなオシャレな料理をあげている女はたいてい実家暮らし。いざ一人暮らしすると野菜が高級品すぎるという現実の壁にぶち当たり、そんな料理はたまにしか作れないという現実を知るのである」
といった声があった。
ところで、去る8 月31日が「野菜の日」だったことはご存知だろうか――。食品メーカー大手のカゴメが20?59歳の男女410人に調査(3月16?18日実施)をしたところ、1日の平均野菜摂取量は132.8グラム(2皿程度)となり、厚生労働省が目標とする350グラム(5皿)以上、野菜を食べている人は全体でたったの5%であることがわかった。
1日の平均野菜摂取量が5皿以上(350グラム以上)の人は、「朝食」「昼食」「夕食」の野菜摂取量の差が少なく、3食バランスよく野菜を摂取していた。野菜の摂取が少ない人は「朝食」での摂取が少ない。また、男女ともに20~34歳の若い人や働いている人ほど野菜不足が深刻化しているという。
いまや「野菜不足」は国民病のようなものかも。「値段が高い」からといって摂取しないわけにはいかない状況なのだ。(KM)