秘策その10 レベル別よりもジャンル別を選ぼう
「1冊でOK」タイプの次は、「600点突破!」といった目標スコアで区切った参考書や問題集に手を出して失敗しました。
TOEICはすべての受験生が同じ問題を解く試験です。英検やIELTS(International English Language Testing System)のように、1級、2級といったレベル別に分かれていません。ですから、「600点レベル」の人を対象にした問題だけを解くのはキケンです。「600点レベル」の問題に慣れた人が、本番で初めて「900点レベル」の難問を目にしたら動揺するだけ。「えっ、こんな難しい問題が出るなんて聞いてないよ~」と嘆いても後の祭りです。 数々の失敗を経て、私がたどり着いた結論は、TOEICの問題集は「レベル別よりもジャンル別を選ぶ」でした。「600点レベル」といった区分けではなく、「文法」「リスニング」「リーディング」のジャンル別に選ぶ作戦です。
具体的には、次の3冊を購入しました。
(1)一問一答式の文法問題集
(2)本番形式に近いリスニング問題集
(3)本番形式に近いリーディング問題集
ポイントは、「薄くて」「本番形式に近い」問題集を選ぶことです。
問題集を選ぶうえで、「薄さ」は重要なポイントです。体系的に構成された1冊を最後までやり遂げることで全体像が把握できるからです。
私がオススメするのは、朝日新聞出版社から発行されている「TOEIC 特急シリーズ」です。TOEIC問題集としては画期的なのですが、新書サイズでとてもコンパクト。その割には収録されている問題の数が多く、解説も充実しています。
とくに、音声サービスにこだわっていて、リスニングはもちろん、文法やリーディングの問題集にも音声ファイルが用意されています。音声はホームページからダウンロードするタイプですが、CD付録付きと比べて価格が安いことも魅力です。
その他には、アルク社の「TOEIC出るとこだけ」シリーズ(小石裕子著)もオススメです。薄くてシンプルで、徹底的に「出る問題」に絞っている潔さが気に入りました。解説が充実しているので、初心者の方にもオススメです。
いかがでしょうか?
さっそく書店に行って、2つのコツを基準に、ご自分にあった問題集を選んでみてください。
次回は、問題集の効果的な使い方についてお伝えしたいと思います。(井津川倫子)
今週のニュースな英語 ~ アップル社のCEOが 移民と「共に立つ」宣言 ~
トランブ米大統領が、今度はIT業界からヒンシュクを買っています。子どものころに親に連れられて米国に不法入国した若者の就業を認める制度「DACA」の撤廃を表明したからです。
現在、「DACA」の措置を受けている若者は全米で80万人いて、その名も「Dreamer」(ドリーマー)と呼ばれています。とりわけIT業界は、優秀なドリーマーを抱えることで成長してきたという側面があります。
アップル社のティム・クックCEOは、さっそくツイッターで、「DACA」支持の姿勢を明確にしました。
250 of my Apple coworkers are Dreamers. I stand with them.
(アップル社には、250人の「ドリーマー」がいる。私は彼らを支持する)
「stand with」には「支持する」「賛成する」といった意味があります。「共に立つ」というニュアンスで、力強い意志を感じさせる表現です。もちろん、ビジネスライクな判断もあるでしょうが、私はアメリカンドリームを支える「原点」を見た思いがしました。