東芝は、複数の陣営と交渉を進めている半導体事業(東芝メモリ)の売却について、米ファンドのベインキャピタルを軸にした企業連合との契約を目指す覚書を締結したことを、2017年9月13日に発表した。
ただ、「同連合を排他的な交渉先とする定めはありません」と併記。今後も他陣営との交渉も続ける見通し。覚書が「優先交渉権」にあたるということではないようだ。
米ウエスタンデジタル、批判声明を発表
東芝が半導体事業の売却先として交渉していたのは、「政府系ファンドの産業革新機構と、日本政策投資銀行、米ベインキャピタルからなるコンソーシアム」(韓国の半導体大手、SK Hynixも資金拠出を計画、日米韓連合)のほか、「米ウエスタンデジタル社を含む企業連合」と「台湾鴻海精密工業を含む企業連合」の3陣営。
東芝によると、その中のベインキャピタルから出された新たな提案に基づき、9月下旬の売却契約を目指す覚書を13日の取締役会で締結したという。
この発表に、交渉先のひとつのウエスタンデジタルは9月13日、声明を発表。「極めて遺憾」と批判した。
ウエスタンデジタルは、東芝と合弁事業を運営するサンディスクを2015年に買収しており、現在も提携関係を維持している。
声明の中でウエスタンデジタルは、今回の東芝の決断は、サンディスク系子会社の持つ同意権を無視したものであると主張。「東芝がサンディスクの同意なしに韓国のSK Hynixおよびベインキャピタル・ジャパンが率いる連合との取引を継続しようとしていることに驚きを禁じ得ません」とコメントしている。