「やり手上司」と「汗かく上司」 かつての部下に慕われるワケ?

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「マーケットイン」型リーダーと過ごした「密度」

「人事管理におけるマーケットインというのは、リーダーが自分ひとりで物事を決めて指示を出すのではなく、部下に議論させあるいは一緒に考えて進め方を決めていく、そんなやり方になります。マーケットイン型のリーダーが、なぜ上下関係がなくなった後も厚い人望を保つことができるのかと言うと、過去に使えた部下たちはそのリーダーの下で、自分たちでつくり上げ成果物を手にしたという、ある種の成功体験を実感できているのです。すなわち、このリーダーと過ごす時間の楽しさを心と体がしっかり記憶しているのです」

   上司の指示を的確に守って業績向上に貢献し、その上司に引き上げてもらった担当者は、上司が現役のうちは何かと気を遣うものの、一度卒業してしまうと疎遠になる。このようなビジネスライクでクールな上下関係は、意外に多いように思います。

   同時に、必ずしも業績伸展の共有や昇格の恩恵はなくとも、部下の主体性重視で一緒に考え動くことの一体感を経験した部下ほど、上司の卒業後も彼を慕ってのお付き合いが続くものだと言うことは、私自身の経験も含めてうなずけるところです。

   そんなことを考えていたら、普通に銀行員生活を終えたものの、今も昔の部下たちとのお付き合いが絶えず、私自身も頻繁にご一緒している元上司のことが思い浮かびました。もう70歳の坂に差しかかる年代ですが、何時お目にかかっても仲間に囲まれて幸せそうな笑顔が素敵です。

   業績を伸ばし、自身が出世することばかりが最終的なサラリーマンの幸せとは限らない。卒業後が長くなった今だからこそそれも大切かと、つくづく考えさせられた葬儀でありました。(大関暁夫)

大関暁夫(おおぜき・あけお)
スタジオ02代表。銀行支店長、上場ベンチャー企業役員などを歴任。企業コンサルティングと事業オーナー(複合ランドリービジネス、外食産業“青山カレー工房”“熊谷かれーぱん”)の二足の草鞋で多忙な日々を過ごす。近著に「できる人だけが知っている仕事のコツと法則51」(エレファントブックス)。連載執筆にあたり経営者から若手に至るまで、仕事の悩みを募集中。趣味は70年代洋楽と中央競馬。ブログ「熊谷の社長日記」はBLOGOSにも掲載中。
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