時代とともに変わる「仕事のやり方」
では、「卒業後」の人望を決めるのは一体何なのか――。彼の話の続きに、思わず引き込まれます。
「その昔『善し』とされたリーダーシップは、少しばかり強引であっても、自分で物事決め部下に対して役割に見合った的確な指示を次々出して引っ張っていくようなスタイルでした。恐らく大関さんや私が銀行に入った頃が、その最後の時代であったのかもしれません。これはマーケティング用語に置き換えれば、プロダクトアウトと言えるやり方です。しかし、今は違います。マーケティングも人事管理も人という相手がいることには変わりなく、部下から見て『善し』とされるやり方もマーケットイン主流の時代に移行しているのです」
プロダクトアウトとは、高度経済成長の時代などに代表されるマーケティング思考で、送り手側、つくり手側が自ら考えたよいものをつくれば、物はどんどん売れるという考え方で、日本でも高度成長期からその延長にあったバブル経済が崩壊するまでは主流を占めていました。
一方のマーケットインは、自分がいいと思うものを次々つくって売るのではなく、市場が何を求めているかを調査し、それに基づいて提供する製品やサービスを決定するやり方です。まさしくマーケットにインする、自ら入り込むやり方なのです。