旧友と立て続けに30年以上ぶりに会う機会があり、そこで立て続けに同じようなことを言われました。
「サラリーマンから独立して、よく10年以上もうまくやっていけるものだね。起業のコツというものがあるのなら、ぜひ聞かせて欲しいものだ」、と。
「金儲け」目的がダメなわけ・・・
私のツールとして、起業相談を受ける際に必ずするべき重要なチェックポイントがあります。
「起業のスリーポイント分析」と呼んでいますが、3つの視点から、その起業を分析して、そのすべてにおいて問題がないと判断できれば成功の確率が上がるというチェック法です。
ひとつ目は、新たに始める事業が「金儲け目的でなく、心底やりたいビジネスである」こと。「やりたい」ということは、事業のモチベーションを維持する意味から大変重要です。万が一、ビジネスが思ったように進まなくなった時に、これがないとすぐに投げ出してしまい、仲間や部下や関係者に不要な迷惑をかけることになりかねません。
儲かりそうだからと始めたビジネスが、そうでもなさそうだとわかった途端にやる気を失い、失敗に向かうケースはほとんどがこの「やりたい」気持ちの欠如なのです。
ふたつ目は、そのビジネスが「やれる」ことであること。外部の誰かの力を借りなければできないことであったり、ビジネスアイデアを思いついたものの、実行する力量的な部分が不足していたり、走りながら高めていくなどというやり方では失敗リスクが大きすぎます。
とくに重要な部分を外部に頼るようなビジネスは、万が一その外部関係者から「やめた」と言われてしまったら、それで事業そのものが破たんする可能性が大きいのですから、論外なのです。
みっつ目は、そのビジネスが「やるべき」ものであること。言い換えると、やるべきか否かとは、そのビジネスが世間から求められるもの、すなわちニーズがあるか否かであり、硬く言えばビジネスとして社会的意義があるか、柔らかく言うならそのビジネスを求め喜んでくれる人が沢山いるか否か、です。
他者の類似サービスで、すでに市場が満たされているのならそれは求められているとは言えませんし、たとえ人に喜ばれるものでも法律やモラルの点からグレーなものであるなら、それは社会的な存在意義を認め得ないのです。