打席に立て! 思い切りバットを振れ!! それが「6割主義」の神髄(江上剛)

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完璧主義はタイミングを逸する

   「6割主義」を考えていたら、子供の頃のことを思い出してしまいました。この石垣飛びの遊びで、なんとなく「6割主義」の効用がわかるでしょうか。

   完璧主義はタイミングを失してしまうことがあるのです。なんでも完璧にやろうとしていると、次から次へと心配なことが現れて、何もできません。

   もちろん、完璧に準備しなければ実行してはいけないことはいっぱいあります。たとえば宇宙ロケット発射などはそうでしょうね。少しでも見落としがあれば、宇宙飛行士の命にかかわりますから。

   しかしあなたが関わり合っている仕事は、きっと先輩の考えでは「6割主義」のほうがいいんでしょうね。

   これも参考になる考え方だと思いますが、どんな優秀なバッターでも「3割」しか打てないんですよ。

   彼らは10割を打つという気持ちでバッターボックスに立つとは思います。しかし「7割」は失敗。「3割」しか打てないんです。それでも、これが最高のバッターなのです。

   もし、彼が10割を打てないからといって、バッターボックスに入るのを躊躇していたら、監督は「なにやっているんだ! さっさと打て! アウトになっても構わないから。思い切ってバットを振るんだ!」と、大声で彼を叱咤激励するでしょう。

   これが「6割主義」の神髄です。答えになりましたか? (江上剛)

江上 剛
江上 剛(えがみ・ごう)
作家。1954年兵庫県生まれ。早稲田大学卒業後、第一勧業銀行(現・みずほ銀行)入行。同行築地支店長などを務める。2002年『非情銀行』で作家としてデビュー。03年に銀行を退職。『不当買収』『企業戦士』『小説 金融庁』など経済小説を数多く発表する。ビジネス書も手がけ、近著に『会社という病』(講談社+α新書)がある。
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