古くは1968年に公開されたSF映画「2001年宇宙の旅」のコンピューター、「HAL 9000」のように、映画や小説の中だけの存在だった人工知能(AI)。それが今やiPhoneの秘書機能アプリケーション「Siri」や、名回答? を繰り出すことで話題となった横浜市のごみ分別AI「イーオ」など、どんどん身近な存在になってきた。
AIを活用したサービスが次々と登場。医療分野では過去の診断データから患者の治療方針を提示したり、銀行のコールセンター業務では問い合わせに適切な回答を提示したりする。外食業などではロボットが接客してくれるほどで、人手にとって代わろうとしている。
「就職先が減る」43.3%
さまざまな活用が広がるAIだが、一方で導入することによって事務職や販売職などの人員削減につながることも予測されている。
主婦に特化した人材サービス「しゅふJOB」の調査機関「しゅふJOB総研」が「AIの発達の影響」をテーマに、働く主婦層にアンケート調査(2017年6月22日〜7月10日、有効回答者数787人)を実施した。
調査によると、「あなたはAIという言葉を知っていましたか」との問いに、85.3%が「言葉も意味も知っていた」と回答。「言葉は知っていたが、意味は知らなかった」が11.2%と合せて、「AIという言葉を知っていた」人はほぼ全員に近い96.5%にのぼった。さすがに、「知らない」人はわずかだ。
そんなAIの発達が「あなたの仕事環境にどのような影響を与えると思いますか」と聞くと、トップは「仕事が効率化され、仕事がしやすくなる」の51.5%と、好意的な答えが半数以上を占めた。
その半面、「仕事を奪われて、就職先が減る」が43.3%と、心配する声も半数近くあった。少なくない主婦が「就職先が減る」と、脅威を感じているわけだ。
また、「仕事が生まれて、就職先が増える」が19.8%、「人間がAIの指示を受けて仕事をすることになる」は17.5%、「仕事のやり方が変わり、仕事がやりづらくなる」は12.6%だった。
わからない」は9.7%、「たいした変化は起きない」6.5%、「その他」2.4%と続いた。
「たいしたことない」と楽観視しているのはごく少数派で、誰もが何かしらの「変化」が起きると覚悟しているようすがうかがえる。
AIの時代には「意外なモノ」が仕事になるかも......
アンケートの回答とともに寄せられた声をみると、
「人間がAIを使っているうちはいいが、AIに使われるようになったしまったら終わり」
「AIを使いこなすことが賢いのか、使いこなされることが賢いのか」
「前職は経理、今は事務職で働いているけど、10年20年したら確実に仕事がなくなると怯えている」
「恐い。とても恐怖です」
といった不安の声が寄せられていた。
ただ、
「知能では負けると思う。でもアイデア、ひらめき、感情はまだ人間しかできないと思う」
「うまく使えば効率化が進み、残業時間も減り、過労死なども防げるようになると思う」
「人口知能に仕事上のアドバイスを受けることができると面白いと思った」
「自分は企画デザインの仕事なので、AIが入ってきても仕事をすべて取られることはないと思う」
と「使い方によるのだ」という声もあがっていた。
では、はたして主婦層以外はAIの発達をどう感じているのだろう――。ツイッターをのぞいてみると、
「AIに仕事とられる時代が来たら意外なもんが飯の種になるかもわからんぞ」
「AIに仕事をとられる? とられない? という心配より、仕事のどの部分を担うか、どう使えるかを考えないと、逆にAIを使えない人は使えない、となる」
「AIがAIを無限につくり、修正もするプログラムを開発しても、ハードが追いつかないから限界がある。修理するのも人間」
といった声が。今はAIにとって代わられないような専門技術を磨くのが得策なのかもしれない。
キャプション AIが仕事を奪う時代がやって来る?