社長、なんでもかんでも自分でやらないで! それ、経営の「独禁法違反」ですよ

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オーナー社長はものすごく心配症なもの

   一方で、対照的な経営姿勢のオーナー社長もいます。IT関連コンサルティングを生業とするC社のF社長。社長は営業活動をしてはいるものの、いち早く営業部隊をつくり、今や社長営業で稼いでいる比率は1割に満たず、年々下がる一方です。

   また会議も、取引先の上場企業に習ったというやり方を導入。主要幹部を執行役員に指名して議題を持ち寄らせ、合議制を旨とした執行役員会議で決定する方式をとっています。C社は事業内容が時流に乗っているという点はありますが、このような社長の経営独占度合いの低下により、効率的な経営に拍車がかかって加速度的に業績を伸ばしているのです。

   各部門長も着実に育っています。その様子は本当に素晴らしいと見ています。多くのオーナー企業が先のW社のような、社長の「経営独禁法違反」状態から抜け出せずにいるのに、C社のF社長にはそれができたのか。私の問いかけに対して、社長の答えは実に明快でした。

「オーナー社長というものは、たいていものすごく心配症なのですよ。自分の会社という意識が強いですからね。『売り上げが落ちちゃうのじゃないか』とか、『しっかり経営しないと、銀行から見捨てられはしないか』とか。究極は、『自分の会社が潰れてしまわないだろうか』です。私もそうですが、その心配事をどう捉え、どう対処するか、その違いによって対応が変わってくるんじゃないかと思います」
大関暁夫(おおぜき・あけお)
スタジオ02代表。銀行支店長、上場ベンチャー企業役員などを歴任。企業コンサルティングと事業オーナー(複合ランドリービジネス、外食産業“青山カレー工房”“熊谷かれーぱん”)の二足の草鞋で多忙な日々を過ごす。近著に「できる人だけが知っている仕事のコツと法則51」(エレファントブックス)。連載執筆にあたり経営者から若手に至るまで、仕事の悩みを募集中。趣味は70年代洋楽と中央競馬。ブログ「熊谷の社長日記」はBLOGOSにも掲載中。
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