「信頼」を得るためにする、大事なことは?
東芝の不正会計事件がありましたが、あの問題も上と下とのコミュニケーションが原因です。上は「チャレンジ」と言ったのです。「がんばれ」の意味だったかもしれません。しかし、下は「不正をしてでも成績を上げろ」と解釈したのです。それが不正会計に繋がったのです。
ですから、偉そうにあなたにコミュニケーション力を磨けと言っている上司も、じつはたいしたことがないのです。
あなたは引っ込み思案であるとか、交流会に行くとか、コミュニケーション力を磨かねばならないと焦っておられるようですが、そんなことは考えないで、自然体でいいと思います。
「剛毅朴訥仁に近し」という孔子の言葉があります。要するに不器用でも正直で飾り気がない人物のほうが信頼できるということです。あなたは正直な人のようですから、信頼されることを心がければいいのです。
また、「巧言令色鮮し仁」という言葉もあります。口が達者な人は信頼、信用できないという意味です。コミュニケーション力は口ではなく心なのです。
どうしたら信頼されるのか? それは、第一に約束を守ること、第二に、できないことはできないということ、そして第三に相手のことをよく知ることでしょうね。
第一、第二は言わずもがなですが、第三はなかなか実践が難しいです。
あなたは、人と会う時に、相手のことを勉強してから会っておられますか? 相手のことを勉強するというのは、相手に関心を持つということです。
関心を持たれているとわかれば、相手は喜びます。あなたに信頼を寄せるでしょう。
徹底研究しなさいというのではありません。わかる限りのことを知ったうえで、相手に会うようにすればいい。
そして相手の話を、静かに「聞く」のです。この「聞く」という姿勢が大事です。知ってますよという、いかにも調べてきました的な態度をとる必要はありません。「聞く」という姿勢、時折適切な質問を挟み込めば、相手は「おっ」と思い、「こいつ、俺のことを調べて来たな」と思うはずです。
その「聞く」という謙虚な姿勢があなたの信頼を増し、それが最高のコミュニケーションとなるのです。ぜひ、実践してください。(江上剛)