コスト削減に取り組む日本企業のうち、8割近くが目標を達成できないでいることが、デロイトトーマツコンサルティングの調べでわかった。同社がアジア太平洋地域(APAC)の企業におけるコスト削減の調査結果をとりまとめた「2017 APAC Cost Survey」を、2017年8月24日に発表した。
日本企業には、他国企業と比べて3つの傾向が根強く見て取れるという。
低い目標設定、高い未達率
デロイトトーマツコンサルティングによると、日本企業のコスト削減をめぐる現状から、「低い目標設定と高い未達率」「部門や機能に限定したアプローチ」「不明確な意義」の、3つの傾向が浮き彫りになった。
日本企業は、調査対象の13%がコスト削減の目標値を「5%以下」、39%が「5~10%」、42%が「10~20%」に設定していた。
じつに94%が目標設定を「20%未満」に設定。これはAPAC平均の合計79%を15ポイントも上回り、大きくかい離している。
低い目標設定のうえ、一方で目標を達成した企業の割合もわずか23%と少ない。APAC平均の30%を7ポイントも下回った。
日本企業の場合、部門や事業部、機能、地域を限定するコスト削減の施策に取り組む企業の割合が50%にのぼる(複数回答可、APAC平均は63%)。すべての部門や事業部、機能、地域で一律にコストを削減する企業は33%(同51%)。また、全社的にコストの構造を分析、管理して再構築する企業は33%(同62% )で、これらを大きく上回っている。
日本企業には、部門や機能ごとのコスト削減には注力するが、全社的な取り組みには消極的になる傾向があるとみている。