役員への「期待」でわかる企業の成長力
こんなことから、先週訪問した2社の経営者に同じ質問をぶつけてみることにしました。2社は歴史ある東証1部上場企業A社と新興市場上場のベンチャー企業B社です。私の質問は、「御社で社長の右腕たる役員の方々には、何を求めていますか」というものです。
一部上場A社の社長は少し悩んで、言葉を選ぶようにこう言いました。
「ありきたりの言い方にはなりますが、うちで役員になっている彼らはすでに能力があってその地位にいるわけですから、その能力と豊富な経験に裏打ちされた知見を活かして経営を支えて欲しい、そんなところでしょう」
これに対してベンチャー企業B社社長は、
「うちで役員に抜擢した人たちは、皆それなりに能力が高いと思っています。ただ問題は、それはあくまでそのポジションを獲得するための能力に過ぎないのだということ。私は、そのことを彼らに直接話しています。そして役員に求めることとして、外部へのネットワークを広げて外で学び、それを会社の発展に活かしてほしいと伝えています。今の時代、企業サバイバルのポイントは、そういうところにこそあるのだと思うからです」
必ずしもこの考え方の違いだけが理由ではないでしょうが、A社は歴史ある優良企業ではありますが、近年のパラダイムシフトの局面でやや苦戦を強いられています。一方、B社はベンチャーの身軽さも手伝い時代の波に乗って破竹の快進撃を展開しています。積極的に新たなことを学ぶ姿勢の重要性を、感じさせられる事実ではあります。
年齢を重ねるにつれ、新しいことを吸収する力が衰えていくのはやむを得ないことかもしれません。しかも、技術の進歩やそれに伴うサービスの高度化など時代の流れはより一層早くなっていくわけであり、われわれ1950年代生まれ以前のビジネスマンにとっては、より一層の努力が強いられる時代であるとも言えるでしょう。
経営者が少しでも自身の時代への遅れを感じた時が、引退の潮時なのかもしれません。その意味では、経営者の次世代へのバトンタッチは従来以上のスピード感が求められるようにも思います。
とりあえず私は、最新ブルーレイレコーダーの活用をマスターすべく奮闘中です。(大関暁夫)