非正規雇用の派遣社員として働いている人の約7割が、「社員登用の打診を受けたい」と思っていることが、総合求人情報サイト「はたらこねっと」を運営するディップの調査でわかった。2017年8月4日に発表した。
ディップは、「非正規社員が雇用の安定を望んでいるようすがうかがえます」という。
派遣社員の約7割、正社員登用望む 会社が打診したのは約3割
ディップの総合求人情報サイト「はたらこねっと」が、ユーザーアンケート「中小企業と大企業における社員登用機会の違いについて」(有効回答数785人)の調査を実施。それによると、中小企業で働く派遣社員のうち、「社員登用の打診を受けたい人」は73%、大企業は69%にのぼった。
中小企業のほうが4ポイント高く「社員登用の打診を受けたい」と回答しており、大企業に比べて中小企業で働く派遣社員の社員への登用希望が高いことがわかる。
その一方で、実際に正社員登用の打診があった派遣社員は、中小企業が35%、大企業は24%だった。大企業よりも中小企業のほうが11ポイント高く、中小企業のほうが積極的な正社員登用を実施している傾向にある。
最近の人手不足の傾向から、非正規雇用者を正社員に取り立てるケースは増えている。調査に当たったディップは「飲食店やコンビニエンスストアなどは(人材の)囲い込みがはじまっていますし、全体的にもその流れにあります」と話す。
そうしたなかで、約7割の派遣社員が正社員への登用を望んでいるにもかかわらず、雇う側が実際に正社員への登用を打診したケースは約3割と、開きがあった。
だが同社は「想定以上に高い結果でした」との見方を示した。「実際の職場では、正社員はコア業務、非正規社員はノン・コア業務に分かれて仕事に就いていました。それが昨今の人手不足で、非正規社員でも正社員と変わらない仕事ぶりを求められています。これまでの仕事の分け方が崩れてきたため、人物本位、ふだんの仕事ぶりなどから判断して正社員に取り立てようという流れが急速に増えているようです」と、その要因を説明する。
雇う側と雇われる側との「ギャップ」も、「今後はもう少し縮まってくると思いますし、派遣社員などへの、正社員の打診も増えてくるのではないでしょうか」と、みている。
中小企業は「任せてもらえる」大企業は「専門性が求められる」
また調査では、派遣社員に中小企業・大企業のそれぞれの働くメリットを聞いた。
中小企業で働くメリットは、「上司や社長とのコミュニケーションが取りやすい」が12.2%で最多。次いで「アットホームな雰囲気がある」が8.2%、「転勤や異動が少ない」7.6%といった結果になった。
一方、大企業で働くメリットは「世間体・社会的な地位が高い」が10.8%で最多。次いで「ルールや仕組みがきちんと決まっている」が8.7%、「充実した福利厚生」が7.8%だった。
中小企業と大企業の業務の違いでは、中小企業は
「従業員一人ひとりの責任と負担が大きかった」
「幅広い知識を持って会社全体を把握できる」
「最初から最後まで任せてもらえることが多かった」
「仕事量が圧倒的に多い」
などの意見があった。
一方、大企業では、
「専門性が求められる」
「残業が少ない」
「業務のあり方やコンプライアンスが明確化されている」
などの意見が多かった。
中小企業と大企業どちらも就業経験がある人に聞いた「違い」では、
「大企業は仕事が細分化しているが、中小企業は幅広い業務をこなす」
「従業員一人あたりの責任や負担が中小企業のほうが大きい。大企業は余裕があり残業も少ないが、正社員登用の希望がなく安定しづらい」
「大企業はひとつの仕事に対して『初めから最後まで携われること』が少なかったが、中小企業では逆に『初めから最後まで任せられること』が多かった」
といった声が寄せられた。
中小企業に比べて、大企業のほうが正社員登用への道は狭いようだが、どうやら肝心なのは仕事へのかかわり方のようだ。