まずはタイプを見極めよう! 困った上司とのつき合い方(江上剛)

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   上司への対応で困っています。ふだん、あまり仕事のことには口を出さないのですが、たまに発言すると、その仕事を一から見直せと言わんばかりのことを言い出します。それまでに仕事の進捗状況は報告していますし、必要な決裁ももらっているにもかかわらず、です。そんな方なので正直、理解に苦しみますし、どうコミュニケーションをとっていいのかわかりません。

   困った上司ですね。でもそういわれたら仕事を見直すしかありませんね。投げ出すわけにはいかないですからね。でも、あなたは「一から見直せ」と言われたとき、なぜそんな指示をだすのか考えてみましたか?

  • 上司はいろいろいるけれど……
    上司はいろいろいるけれど……
  • 上司はいろいろいるけれど……

あなたの反論に、上司はなんという?

   上司の中には、思い付きでとんでもない指示を出す人もいますが、ただの思い付きで言っているわけではないと思いますよ。

   仕事にはスケジュールがあります。いつまでに仕上げるか、ですね。お客が相手であればなおさらです。あなたは客と何度も打ち合わせし、プランを練って来られたのでしょう。そしてプレゼンテーションの日が近づいているにもかかわらず、上司が「一から見直せ」と言われたら、それはもう地獄ですね。

   その指示が単なる思い付きなら、コミュニケーションも何もないでしょう。

「時間がありません。一から見直す時間はありません。具体的にどこが悪いのか、どこを直せばいいのか教えてください。この案はお客様と十分にすり合わせているんです」

   あなたは、イヤでも反論せざるをえないでしょう。そうしなければ、お客に迷惑をかけてしまうことがあります。

   反論したら上司はなんていうでしょうね。

(1)ぷいっと横を向いてしまう。
(2)あなたの反論に驚いて、訂正部分を具体的に指示する。
(3)そんなのは自分で考えろ。いちいち聞くなと怒り出す。

こんな感じなのでしょうか。

バカにはつき合わない

   (1)なら、上司は思い付きで指示をする人で、なにも考えていないんでしょうね。上司らしい振る舞いは部下を怒鳴ることだと思い込んでいるバカですね。

   そんな上司の指示なら無視してしれっと「一から見直しました」と言って翌日にでも提出すればいいですよ。

   バカな上司とコミュニケーションを取ろうと思ったり、上司に合わせようと、今、流行の忖度をしたりすると、疲れます。そんなこと止めたほうがいい。仕え甲斐のある上司ならいいですが、そうじゃなければかかわりを可能な限り少なくしましょう。

   (2)なら一応考えている上司ですね。今まであなたがまったく反論しなかったので、無理難題の指示をしていたのですね。

   それが反論してきたので、少しはあなたのことを見直したかもしれない。あなたは「分かりました。すぐにご指示の箇所を見なおします」と言い、作業にかかるべきです。

   そして見直し作業中に、指示を受けた以外の箇所で問題を発見するかもしれません。

   あなたは「ご指示の箇所を見直していたら、ここも見直すべきだと思うのですが」と指示を仰げばいいですね。

   こうした具体的なやり取りがコミュニケーションとなってあなたと上司の関係を密にするでしょう。

上司はなついてくれる部下が一番かわいい

   (3)は一番問題ですね。こういうタイプは、あなたを育てようとしているか、潰そうとしているかどちらかです。

   育てようという場合は、あなたを追い込むことで、一人前にしようとしているんですね。自分で考えさせる訓練をしようとしている。

これにはあなたは応えねばなりません。

   書類を持ち帰って、考えに考えて、それでも何も見直す個所がわからなければ、素直に上司に頭を下げ「見直しましたが、わかりません」と言うんでしょうね。

   じつは、この素直さこそが大事で、コミュニケーションの重要な要素です。素直に謝罪し、上司の懐に飛び込めば、上司も「それなら具体的に説明しようか」となります。

   自分になついてくれる部下のことは、上司は一番かわいいのです。上司は仕事ができる部下を頼りにはしますが、ちっとも可愛いとは思っていないです。

   それよりも「ゴロニャン」と、猫なで声で頭を撫でてくださいと言わんばかりに近づいてくる部下が可愛いのです。

   私は、「ゴロニャン」ができませんでしたね。へたくそでした。ですから、上司には可愛がられませんでした。それはとても残念でしたね。可愛がられればコミュニケーションは円滑になるんですが、私はいつも喧嘩腰だったのでダメでした。だから仕事では、文句を言わせないぞって、頑張っていましたけどね。

   あなたの上司が(1)(2)(3)のどれに当たるかわかりませんが、仕え甲斐のある上司なら「ゴロニャン」が一番効果的なコミュニケーションです。(江上剛)

江上 剛
江上 剛(えがみ・ごう)
作家。1954年兵庫県生まれ。早稲田大学卒業後、第一勧業銀行(現・みずほ銀行)入行。同行築地支店長などを務める。2002年『非情銀行』で作家としてデビュー。03年に銀行を退職。『不当買収』『企業戦士』『小説 金融庁』など経済小説を数多く発表する。ビジネス書も手がけ、近著に『会社という病』(講談社+α新書)がある。
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