2016年度に時間外労働などに対する割増賃金を支払っていない、いわゆる「未払い残業代」が前年度と比べて約27億円増え、127億円超にのぼることがわかった。厚生労働省が2017年8月9日に発表した。
是正指導した企業数は1349社で、前年度から1社増えた。このうち、1000万円以上の未払い残業代を支払ったのは184社にのぼった。
184社が1000万円以上を支払い
調査は、全国の労働基準監督署が、労働者からの申告や寄せられた情報に基づいて企業への是正指導を行い、2016年度に未払い残業代が労働者に支払われたもののうち、その支払額が1企業で合計100万円以上の事案をまとめた。
支払われた未払い残業代の合計額は、127億2327万円で、前年度から27億2904万円の増加。対象となった労働者数は、5266人増の9万7978人だった。未払い残業代の平均金額は、1企業当たり943万円、労働者1人当たり13万円だった。
厚労省は、未払い残業代の解消のための取り組み事例を紹介。是正指導の対象となった企業では、定期的にタイムカードの打刻時刻やパソコンのログ記録と実働時間との隔たりがないか確認するなどの取り組みを実行している。
このほか、適正な労働時間管理を実現する仕組みを検討するためのプロジェクトチームを立ち上げたり、役員らが緊急メッセージを発信するとともに説明会を開催したり、相談窓口を設置して会社の労務管理に関する疑問などを相談できる体制を整えているケースがあるという。