「営業必勝の法則」という未完の宿題
企画段階でもう一つ、大森さんからの要望としてあったのが、「最終的に何か、営業必勝の法則みたいなものまで導き出せたらおもしろい」というものでした。
こちらは、連載の中では法則にまではまとめきれず、未完の宿題になってしまいました。しかしながら、連載で書かせていただいたいくつかの原稿のエッセンスをさらなる吟味を重ねて結論づけ、連載終了後に「成果の法則」としてまとめることができました。
「営業成果=営業活動量×営業知識量」という法則がそれです。これも、ずっと引っかかっていた未完の宿題と向き合い、連載で取り上げた事例や現場の優秀な営業担当者の行動パターンを分析する中で、営業はどこまでいっても行動量と情報を含めた知識量がモノを言うという真理を、法則として整えたものでした。
「必勝法則にまとめられないか」という常に読者を意識された大森さんの発想のおかげでたどり着いた、営業コンサルタントとしての私にとってのひとつの大きな成果であるのです。
理論的なものが整理できると、あとはその理論に沿った行動を現場で検証を繰り返せばよりブラッシュアップされた強固なものになっていきます。今や私の商売道具として欠かすことのできない「営業の5ステップ+1」と「営業成果の法則」は、大森さんにいただいた連載企画取り組みに際してのヒントなくして確立はされ得なかったと、今改めて実感するところであります。
私は大森さんとは決して親しく付き合わせていただいたわけではありませんが、ひょんなことからお目にかかる機会をいただき、その流れでWEBでの初めての連載仕事をいただく幸運を得ました。
そしてわずかなコミュニケーション機会の中からも、一流ジャーナリストとしての鋭い視点から得難いヒントを頂戴したことは、私のとって大切な財産であると思っています。大森さんの訃報に接し、改めてそんなことを考えさせられました。
大森さん、ありがとうございました。ご冥福を心よりお祈り申し上げます。(大関暁夫)