2014年にスタートした、株式や投資信託などの配当や分配金、譲渡益を非課税にする「少額投資非課税制度」(NISA)。16年には「ジュニアNISA」が、そして18年1月からは「つみたてNISA」が開始される。
いずれも運用益に税金がかからないNISAの「仲間」。「つみたてNISA」は現行のNISAが積立投資に利用しにくいことから、少額から積立・分散投資ができる制度として2017年度の税制改正で正式決定。17年10月から口座開設の申し込みがはじまる。
投資できる商品に違い
「つみたてNISA」は現行のNISAと同様、毎年の非課税枠から得た分配金や譲渡益にかかる税金はゼロだが、非課税枠が年40万円(現行のNISAは120万円)で、非課税期間が20年(NISAは5年)という点で異なる。
毎年40万円までの一定額の投資から得られる利益が、20年間の長期にわたり非課税で運用できるわけだ。
ただし、つみたてNISAと現行のNISAは選択制となっており、併用はできない。また、つみたてNISAと現行のNISAのあいだで投資商品を移管することもできない。自分にとって、どちらが有利かを検討して、年単位で選択しなければならないのだ。
注意すべき点は、投資できる商品の違いだ。
つみたてNISAでは、長期積立・分散投資に適した商品として、公募株式投資信託と上場投資信託(ETF)に投資することとされている。
つまり、現行のNISAで投資対象となっている上場株式や不動産投資信託(REIT)などは、つみたてNISAでは投資できないほか、つみたてNISAでは現行のNISAのように一括投資はできず、定期・定額の積立が原則となっている。
したがって、株式など換金性が高い商品に投資したい、ある程度まとまった資金で比較的短期間に非課税の恩恵を享受したいという場合は、現行のNISAを選ぶことになる。
老後資金はiDeCo、教育費や住宅購入はつみたてNISA
長期分散投資を非課税で実行できる「つみたてNISA」で連想されるのが、2017年から20歳以上60歳未満であれば原則誰でも利用できるようになった「個人型確定拠出年金」(iDeCo)だ。
iDeCoの最大の特徴は掛け金が全額所得控除の対象となることだが、運用益も課税されない。非課税で運用できる期間についても最長70歳まで、その後、年金受給期間中も非課税で運用しながら取り崩して受給できる。
老後のための資金準備については、まずiDeCoを利用するのが効果的といえる。ただし、iDeCoの決定的な制約要因として原則60歳まで資金の引き出しができない点がある。
そこで、子供の教育や住宅の購入など、現役時代のライフイベントのために長期分散投資をするには途中で引き出しが可能な、つみたてNISA。所得控除のメリットがない専業主婦は、つみたてNISA。パート収入がある主婦は月2万円程度多めに働き、その分をiDeCoに回す......といった使い分けが重要なポイントになる。
わが家のライフプランを踏まえて、活用法をしっかり検討しておきたいものだ。(阿吽堂)