国内の約150万社のメインバンクは、三菱東京UFJ銀行が12万3763社(約150万社に占めるシェア8.2%)でトップだった。民間調査会社の東京商工リサーチが2017年8月4日に発表した。
第2位は三井住友銀行の9万4644社(6.30%)、3位はみずほ銀行の7万7306社(5.14%)で、メガバンクが上位を独占。地方銀行では、北洋銀行(北海道)が2万5519社(1.70%)の第5位。次いで、千葉銀行(千葉県)が2万1924社(1.46%)、福岡銀行の2万170社(1.34%)、西日本シティ銀行の1万9295社(1.28%)と続いた。調査は3月末時点。
県内シェア5割以上の地銀は18行
全国でみると、大都市圏はメガバンクが優位だが、地方では地方銀行のシェアが圧倒。ただ、地域によっては信用金庫も都道府県内シェアの上位にランクされている。
県内シェア(占有率)のトップは、島根県の山陰合同銀行で、県内シェアは65.7%に達した。県内シェア5割以上の地方銀行は、宮城県の七十七銀行(56.6%)や山梨県の山梨中央銀行(57.1%)など18行にのぼり、県内シェア2位に入った信用金庫も、静岡県の浜松信金(7.7%)や鹿児島県の鹿児島相互信金(12.2%)など8信金あった。
東京都は、上位を三菱東京UFJ銀行や三井住友銀行、みずほ銀行、りそな銀行と大手行が独占するが、第5位には地銀を押しのけ多摩信用金庫が登場。東京都の地銀・第二地銀は取引先数が多くても、大手銀行と信金に挟まれている状況が浮き彫りになった。
ちなみに、貸出シェアが7割を超すことで公正取引委員会が「待った」をかけた、ふくおかフィナンシャルグループの親和銀行(長崎県佐世保市)と長崎市の十八銀行の経営統合だが、両行をメインバンクとする長崎県内の企業数のシェアは83.7%にのぼった。
観光客の増加反映、沖縄県の2地銀が1位、2位
一方、メインバンクごとに取引先企業の増収増益率を分析。直近3期(2014年1~12月期、2015年1~12月期、2016年1~12月期)の売上高、利益が判明した企業数を分母に、増収増益の企業数を分子として増収増益率を算出した。
その結果、2016年の取引先企業の増収増益率は、第1位が沖縄銀行で36.7%。2位が琉球銀行の36.0%、3位は広島銀行の35.0%と続いた。観光客数が2012年から4年連続で過去最高を更新している沖縄県の活況ぶりを物語る数字となった。
また、倒産企業のメインバンクを調査したところ、信用組合が0.44%で最も高く、次いで信用金庫0.40%、大手銀行0.35%、第二地銀0.33%、地方銀行0.26%の順だった。その他が0.25%あった。
東京商工リサーチは、「増収増益率と同様に、信金や信組は経営基盤や資金余力の乏しい小・零細企業との取引が多く、取引先の業績改善に課題を抱えていることを示している。一方、地方銀行は大手銀行より取引企業数は1.6倍多かったが、倒産比率は0.9ポイント低く、地場企業への対応の違いを示唆している」と分析する。
日銀によるマイナス金利政策の導入後、銀行などは本業の貸し出しによる収益確保が厳しい状況にある。さらに地方は人口減少で貸出市場が縮小、産業構造の変化による地域経済の後退も懸念されている。
金融環境がドラスティックに変化するなか、銀行などは経営の効率化や再編による経営の健全化と同時に、「フィデューシャリー・デューティー」(顧客本位の業務運営)がより求められているとしている。