観光客の増加反映、沖縄県の2地銀が1位、2位
一方、メインバンクごとに取引先企業の増収増益率を分析。直近3期(2014年1~12月期、2015年1~12月期、2016年1~12月期)の売上高、利益が判明した企業数を分母に、増収増益の企業数を分子として増収増益率を算出した。
その結果、2016年の取引先企業の増収増益率は、第1位が沖縄銀行で36.7%。2位が琉球銀行の36.0%、3位は広島銀行の35.0%と続いた。観光客数が2012年から4年連続で過去最高を更新している沖縄県の活況ぶりを物語る数字となった。
また、倒産企業のメインバンクを調査したところ、信用組合が0.44%で最も高く、次いで信用金庫0.40%、大手銀行0.35%、第二地銀0.33%、地方銀行0.26%の順だった。その他が0.25%あった。
東京商工リサーチは、「増収増益率と同様に、信金や信組は経営基盤や資金余力の乏しい小・零細企業との取引が多く、取引先の業績改善に課題を抱えていることを示している。一方、地方銀行は大手銀行より取引企業数は1.6倍多かったが、倒産比率は0.9ポイント低く、地場企業への対応の違いを示唆している」と分析する。
日銀によるマイナス金利政策の導入後、銀行などは本業の貸し出しによる収益確保が厳しい状況にある。さらに地方は人口減少で貸出市場が縮小、産業構造の変化による地域経済の後退も懸念されている。
金融環境がドラスティックに変化するなか、銀行などは経営の効率化や再編による経営の健全化と同時に、「フィデューシャリー・デューティー」(顧客本位の業務運営)がより求められているとしている。