転勤で家族がバラバラに暮らす深刻 日本の会社は異常だ!(江上剛)

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いわゆる、転勤族です。名古屋に単身赴任して、もうじき3年。口約束ですが、2年の条件で東京に戻すということだったのに、大阪転勤の打診がありました。大阪行きとなれば、また2、3年は妻子と別居。妻に子供の教育などを任せっきりで、申し訳ない気持ちもあります。イマドキ、転勤を理由に出世から外れるという話も聞かなくなりましたが、そうでない会社もあります。うちはその典型で、悩んでいます。アドバイスをいただけないでしょうか。

   深刻ですね。私は前の会社の人事部時代に、あなたと同じような悩みをよく聞かされました。

  • 家族がバラバラでいいわけない!
    家族がバラバラでいいわけない!
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転勤を受け入れても、必ずしも幸せではない

   転勤の相談で、特によく話を聞かされたのは、「外‐外」という海外拠点から海外拠点への人事異動です。アメリカからアジアなどですね。最近は、アメリカやヨーロッパより、アジア重視ですから、アメリカなどの先進国でビジネスを学んだ人材がアジアに、「外‐外」の人事異動で赴任するケースが増えています。

   会社にとっては代替不可能な人材だからということでしょうが、あなたや家族にとってはそれが必ずしも幸せとは限りませんよね。

「子供が学校でイジメられているのに相談に乗れないんです」
 「子供が家庭で荒れています。なんとか帰国させてください」

   などと訴えられ、その都度、話し合いながら最善の策を考えたこともありました。

   転勤を拒否したら人事に影響することはよく聞きますし、実際そういうケースもまだまだ多いと思います。

   この解決策は、あなたが家族と仕事について話し合いを持つことからはじめましょう。

   あなたは、「家族といる時間をもっと大切にしたいので、大阪行きを拒否したいがどうか」と、奥様やお子様に率直に相談されるのがいいと思います。

   大阪行きの転勤があなたのキャリアにとって最善のものであるか、それとも単に都合のいい人材であるために転勤させられているだけなのか、そんなこともなんでも家族で話し合ってきましょう。

   家族が一体となってあなたを支えてくれるなら、大阪転勤を受け入れてもいいでしょう。

   そうでなく、家族が「あなたと一緒に暮らしたい」「転勤しないでほしい」と熱望すれば、あなたは転勤を拒否するか、もっと違う形での会社への貢献を人事部に申し出ることですね。

江上 剛
江上 剛(えがみ・ごう)
作家。1954年兵庫県生まれ。早稲田大学卒業後、第一勧業銀行(現・みずほ銀行)入行。同行築地支店長などを務める。2002年『非情銀行』で作家としてデビュー。03年に銀行を退職。『不当買収』『企業戦士』『小説 金融庁』など経済小説を数多く発表する。ビジネス書も手がけ、近著に『会社という病』(講談社+α新書)がある。
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