大手広告代理店の電通は、新入社員の女性社員(当時24歳)が過労自殺した問題を受けて2017年7月27日、長時間労働の是正に向けた「労働環境改革基本計画」を発表した。
深夜業務の禁止や個人評価指標に「法令遵守」を盛り込むなどの改革を行い、19年度には1人あたりの総労働時間を80%まで削減するとしている。
山本社長「簡単でないが、必ず成し遂げる覚悟」
主な内容は、22時から翌5時までの深夜業務を原則禁止するほか、正社員採用の拡充、在宅勤務の導入、個人評価指標に「法令遵守」を盛り込むなどの施策で長時間労働の是正に取り組む。
電通によると、1人あたりの年間総労働時間が、直近で最も長かったのは14年度で2252時間。今後は段階的に労働時間の削減に取り組み、19年度には14年度から2割減の1800時間を目指すとしている。
削減した2割の時間は「連続休暇」日数の大幅拡大を推進といった「休み方改革」や介護・育児、社会貢献活動の支援を強化などに充て、社員1人ひとりの成長を促す。
電通の山本敏博社長は「『新しい電通』とは、社員の心身の健康を経営の根幹に置き、労働時間の短縮と業務品質の向上を両立し、社員も会社も持続的に成長することのできる企業です。簡単なことではないと理解しておりますが、必ずこれを成し遂げる覚悟です」としている。
なお電通は、違法残業事件で7月5日に労働基準法違反の疑いで略式起訴されていたが、東京簡易裁判所は12日に検察当局の処分を「不相当」と判断し、正式な裁判を開くことを決定している。