僕はいまクルマがなく、何かと不便なので、ひとつ軽自動車を買おうと思っている。
「軽」は最近、性能が随分とよくなってきて、デザインも悪くない。普通自動車より値段が安いし、維持費が安上がりなのもありがたい。
黄色地が車体の色との調和を壊す
ところが、軽にはひとつ「欠点」がある。それは自家用のナンバープレートが「黄色地に黒文字」であることだ。とりわけイヤなのが「黄色地」である。蛇足ながら、自家用の普通自動車のナンバープレートは「白地に緑文字」である。
軽では、この黄色地がとにかく目立つ。目立つこと自体は悪くはないのだが、軽の黄色地は車体の色との調和を壊している。ナンバープレートだけが浮いている。
野暮ったいし、しゃれっけといったものが感じられない。
軽を買いたいと思っても、黄色地のナンバープレートを見ると、二の足を踏んでしまう。昔、レンタカーのナンバープレートが「黒地に白文字」で、「葬式ナンバー」と呼ばれ、嫌われたことがあった。それよりはまだましだけど、僕と同じように感じる人は少なくないのではなかろうか。
ただし、黄色地のナンバープレートと車体の色とを調和させる方法もある。それは車体の色も黄色にしてしまうことだ。わが家の近くにもそんなクルマの持ち主がいるが、なかなかに感じがいい。かと言って、世の中の軽の車体をすべて黄色にするのも非現実的な話である。
調べてみると、軽のナンバープレートが目立つように作られたのには、それなりの理由がある。ひとつは、以前は高速道路での制限速度が軽と普通車とでは違っていたので、速度違反を取り締まるためには、軽と普通車を見分けやすくしておく必要があったようだ。
もうひとつは、高速道路の料金を徴収する際、おカネを受け取る人にとっては、軽と普通車がひと目で分かるとありがたかったことだ。
「名誉白ナンバー」には「寄付金」が要ることも
ところが、今は「軽」も普通車も制限速度は同じだから、高速道路で軽を目立たせる必要がなくなった。高速道路の料金徴収もETC(電子料金収受システム)であれば、人間が軽と普通車を見分けなくてもいい。
こんなふうに、目立つことが特には必要でなくなったせいだろうか、国土交通省は今年(2017年)4月から軽にも普通車並みの白ナンバーを与えることにした。
ただし、「ラグビーワールドカップ 2019」の特別仕様ナンバープレートというもので、交付料金(たとえば7000円)が要る。寄付金も欲しいようだ。
話は飛ぶが、その昔、南アフリカ共和国でアパルトヘイト(人種隔離政策)が行われていたとき、日本人は黄色人種なのに「名誉白人」とされていた。日本と付き合えば経済的に儲かるからだった。
特別仕様のナンバープレートも名誉白人ならぬ「名誉白ナンバー」といったところだろうか。(岩城元)