ご褒美は成果ではなく、「プロセス」にあげる
「ご褒美で釣って勉強させる作戦」は、じつは近年推奨されている学習法です。ベストセラー「学力の経済学」の筆者で慶応義塾大学の中室牧子准教授も「子どもにご褒美をあげていい」といいます。
ポイントは、「100点を取った」という成果(アウトプット)ではなくて、「1日1時間勉強をした」というプロセス(インプット)に報酬を上げること、です。プロセスを重視した方が確実に成果につながる、という論理的な考え方です。
私は、40代でTOEIC L&Rに初めてチャレンジした時に、スコアを目標にしませんでした。「TOEICスコア800」を目指すのではなく、「毎朝30分英語の勉強をすること」を目標にしました。
当時は、人気ブロガーや大学准教授のセオリーも、「脳のしくみ」についても、まったく知りませんでした。過去の失敗を振り返った時に、大きな目標を立てて無理やり頑張ったあげくに、いつも途中で挫折していたことに気づいたからでした。
今度こそ「途中で挫折しない」ために、「毎朝30分」を「続ける」ことを目標に定めて、「おいしいコーヒー」や「朝カフェのクロワッサン」で自分を釣る作戦にしました。「ご褒美」があると調子が出ることは、経験を重ねるうちに発見しました。
こうして、独学でたどり着いた「ご褒美作戦」ですが、理論的に証明されているとは想定外でした。専門家のお墨付きをいただいたようで、ちょっぴり自信になります。
「でも、ずっと『ご褒美』が必要なの?」と疑問に思う方もいらっしゃるでしょう。
大丈夫。安心して下さい。ガイズ氏によれば、「時間が経つと脳が報酬を必要としなくなる時がやってくる」とのこと。「習慣」になれば報酬を必要としなくなる、ということでしょう。
たしかに私も、朝早く英語の学習をして満足感を得るうちに、コーヒーやクロワッサンがなくても平気になっていました。もちろん、「報酬」があるとさらに効率がアップすることは言うまでもありませんが(笑)。(井津川倫子)
今週のニュースな英語 ~「いいスタイルしているね」は誤報だった? ~
米国のトランプ大統領が、今度はセクハラ発言で批判されています。フランス訪問中に、仏マクロン大統領のブリジット夫人に対して、「いいスタイルをしている。美しい」と言ったとか。ところが、英語で何と言ったのかなと思って調べてみたら、意外な事実がわかりました。
トランプ氏は、「You are in such good shape」と言っていますが、「in good shape」は「コンディションがいい」という意味で、運動などをして「体調がよい」といったニュアンスです。必ずしも「いいスタイルをしている」という意味ではありません。
実際、英国のBBCは、
「The US president paid the compliment to France's first lady」
(アメリカ大統領がフランスのファーストレディーを褒めた)
と伝えています。
これまでも女性の容姿をめぐる発言で反発を招いているトランプ大統領。「下品」「女性差別」など批判が続出しているといいますが、こうした「誤解」は日頃のおこないのせいなのでしょうか? 今回ばかりは、少々お気の毒な感じがします。