企業調査の東京商工リサーチの国内銀行92行「平均年間給与」調査(2017年3月期)によると、有価証券報告書などで行員数や平均年間給与、平均年齢が判明した国内92銀行の2017年3月期の平均年間給与(基本給与と賞与・基準外賃金の合計)は615万2000円で、前期から5万1000円減少(0.8%減)した。17年7月20日に発表した。
前期を上回ったのは、大手7行では、あおぞら銀行のみ。地方銀行は54行のうち19行、第二地銀は31行のうち11行の合計31行(構成比33.6%)にとどまり、約7割が前年を下回った。
平均年間給与、7割の銀行が前年を下回る
92の国内銀行の平均年間給与は、07年3月期の653万6000円がピーク。その後は減少をたどり、13年3月期にようやく増加に転じたものの、日本銀行によるマイナス金利政策に伴う低金利競争や資金運用難といった厳しい収益状況などを背景に、17年3月期は12年3月期以来、5年ぶりに前期を下回った。
17年3月期の平均年間給与を業態別にみると、大手行が前期比1.5%減の742万8000円、地方銀行が0.7%減の632万2000円、第二地銀は0.8%減の556万8000円だった。
大手行との差は、地方銀行が110万6000円(前年は117万6000円)、第二地銀は186万円(192万9000円)。ただ、前期に比べて大手行との給与格差は地方銀行が7万円、第二地銀も6万9000円縮小し、大手行との差はわずかだが縮まった。
一方、個別銀行をみると、平均年間給与のトップは、4年連続で三井住友銀行の814万8000円だったが、前期より15万3000円(1.8%減)も減少した。次いで、東京スター銀行の812万2000円、スルガ銀行の810万6000円が僅差で続いた。トップ3の順位は3年連続で同じだった。
上位30行のうち、前年より平均年間給与が伸びたのは、スルガ銀行、あおぞら銀行、第四銀行など8行にとどまるなど、伸び悩みが目立った。
銀行員の給与「ここ10年くらいで急速に怪しくなってる」
政府は2017年春も、賃上げやベースアップの実施を求めていたが、メガバンクはマイナス金利による収益悪化の懸念から、2016年春闘では3年ぶりにベアを見送り。17年春闘も、みずほフィナンシャルグループや三菱UFJフィナンシャル・グループは2年連続でベアを見送った。
メガバンクといえども、かなりマイナス金利政策が響いているようだ。
こうした調査結果にインターネットの掲示板などでは、
「大手銀行で1000万以下とか考えられないんだが、そんなもんなのか?」
「こんな安いワケがない。なんかあるはず」
「少なすぎるわ。こんなん家庭があって子供もいて住宅ローンとか抱えてれば言う程の贅沢もできないだろ」
など、思ったよりも「安い」といった声や、
「一般職も含めてなら、かなり高いんじゃないかな」
「銀行は数字にはあらわれない福利厚生が半端ない」
「平均なんだから、2000万円がいるんだろうに」
といった「もっと高い」の声が入り混じる。
なかには、
「銀行員って、ここ10年くらいで急速に先行きが怪しくなってる気がしてならない」
「今の銀行は儲からない、貸出額は増えないし低金利で国債運用もダメダメw」
「銀行なんて大して儲かってないんだよ。だから消費者金融まがいのことやってんだろ」
と悲観的な声も寄せられている。
「高給取り」のイメージがある銀行員の給与だが、銀行の規模格差や資金運用力、営業戦略などによって明暗を分けるような事態になってきたようだ。