2020年「その時」ホームレスはどこへ行くのか
それぞれの地方自治体でホームレスの自立支援に取り組んでいることが、ホームレスの減少につながっているという指摘もあるが、一方では「ホームレスの自立は簡単ではない」(区の福祉担当者)という声も多く聞かれる。担当者は、「公園などから立ち退かせる際に、支援施設への入居などをきちんと手当しないと、どこかへ消えてしまい、追跡調査するのが難しい」という。
また、若者層などでは「脱法ハウス」や「ネットカフェ」、24時間営業のファストフード店を転々とする、ホームレスかどうか定かでないような人も少なくない。
つまり、本当のところは支援施設などに入居しない以上、ホームレスがどこへ行ったのかは、正確には把握できていないというのが実情なのだ。
その一方で、東京都は2024年度までにすべてのホームレスが地域生活へ移行できるようにすることを目標に掲げている。2020年には東京五輪・パラリンピックがあるから、それに向けてホームレスの「排除」は一層進むことになるだろう。
世界的にみても、過去のオリンピックや大規模なスポーツイベントの開催では、開催地からホームレスが追い出されたり、すまいを強制的に移されたりしたことがなかったわけではない。
東京で暮らすホームレスがその時、支援施設に入居するなどにより自立が進めばよいが、半面、行方知れずの状況になる可能性も高い。(鷲尾香一)