「鉄仮面」を味方にする! これも社内営業の極意のひとつ(高城幸司)

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   年齢や性別に関係なく「とっつきにくい人」はいます。

   あまりみんなの会話の輪に入ってこなかったり、話しかけてみても素っ気ない返事しか帰ってこなかったり。あるいは話すと否定的な言葉が確実に返ってくると社内で有名。スマホをいじっていて、目をあわせてくれない。そんな人には、どうしても及び腰になってしまうものです。

  • 「とっつきにくい人」を落とせ!
    「とっつきにくい人」を落とせ!
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誰もが群がる人では「差別化」できない

   筆者が新人時代に同じ職場に鉄仮面と呼ばれていた先輩がいました。とにかく、自分の殻にこもっている姿勢から名づけられたようです。何を話しかけても表情が変わらないのです。

   同じ職場に異動してくると、誰もが声をかけてみるものの、あきらめて離れていく人ばかり。敵対的に対立しているのではないですが、距離が埋められない関係の状態で仕事をする状態の同僚ばかり。仕事がやりづらいと感じていながら、活路が見出せない人物。そんな悩ましい人、あなたの職場にいるでしょうか?

   もしあなたにとって、その人が「特に味方になってもらわなくてもいいかな?」という人であれば、無理をする必要はありません。しかし、「できれば味方になってほしいな」と思うのであれば、どんどんアタック=社内営業を仕掛けるべきです。

   そもそも、自分にとって味方になってもらいたい人は、ほかの人にとっても味方になってもらいたい存在であることが多い。その人のコミュニケーション能力が高ければ、ほかの人にとっても社内営業がしやすい人ということになる。

   そうなると、みんながその人に群がっていくはずなので、いろいろな人の味方になっている可能性が高い。つまり、その人を味方につけても、大きな差別化につながる保障はない、ということです。

   一方で、味方になってほしいだけの権限や能力や知見を持っているが、あまりにも無口でとっつきにくい人は、ほとんどの人から敬遠されています。あまり多くの人の味方になっていないはずです。その人を味方につければ、大きなチャンス。コミュニケーションの相性は最悪かもしれないですが、頼りになる度合いが大きい人。その人を攻略できたとき、自分にとってのメリットは大きいはずです。

とっつきにくい人を、クスッとさせたら勝ち!

   こういうタイプの人を、いかにうまく押さえておくか。この点が、社内営業の勝負どころの一つとなります。

   前にも述べましたが、社内営業は「友達」をつくることではありません。社外の営業と同じです。「あの取引先の担当者とは感性が合わないから、営業に行かない」という選択は、あり得ません。むしろ、「みんなが苦手としている、あの取引先と懇意になれば、どんなに痛快か」と考えるのが、あるべき姿です。

   同様に、「タイプが違うから付き合いにくい」という発想は、そもそも社内営業においては、そぐわない考え方なのです。

   そうは言っても、無口でとっつきにくい人に社内営業するのは気が重い。社内営業に慣れていた筆者でさえ、そう思うことがしばしばありました。しかし、やるべきことをやらなければ味方にはなってもらえない。そう腹をくくり、真正面からぶつかるしかありません。

   筆者の知り合いに、生命保険業界の伝説の営業ウーマンと呼ばれた女性がいました。彼女は気難しく、感情の起伏がほとんどなく、表情もまったく変えない人を顧客にするために、こんなことを自分に課したといいます。

「今日、この人と一時間話をして、一瞬でもいいからクスッとさせたら私の勝ち」

   そう決めることで気が滅入るのをどうにか抑え、目標を設定することがモチベーションに変わったそうです。社内営業も、彼女のスタンスと同じように考えればいいのではないでしょうか。

   コミュニケーションの相性が悪い人に対しては、自分のなかで目標を定めて、少しずつでも前に進んでいくことで満足していいと思います。そこから活路を見出して、とっつきにくい人から、やや無口だけど、いい人くらいに関係を昇華させていきましょう。(高城幸司)

高城幸司(たかぎ・こうじ)
1964年生まれ。リクルートに入社し、通信・ネット関連の営業で6年間トップセールス賞を受賞。その後、日本初の独立起業専門誌「アントレ」を創刊、編集長を務める。2005年に「マネジメント強化を支援する企業」セレブレインの代表取締役社長に就任。近著に『ダメ部下を再生させる上司の技術』(マガジンハウス)、『稼げる人、稼げない人』(PHP新書)。
「高城幸司の社長ブログ」
株式会社セレブレイン
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