ああ~ 恋しいビル、許しておくれ MacPC、見た目で買って大失敗!?

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Windows は20年連れ添った「糟糠の妻」

   というわけで、まずは美しいMacBook Airに、使い慣れたWindows10をインストールしてやった。「新しい恋人に、元妻の味噌汁をつくらせて、昔の快適さを味わおう」という魂胆である。

   ところが、OSをWindowsに変えても、いちばん大事なキーボードが変わらないので、使い心地は悪いままだった。

   「私は元妻の味噌汁が飲みたいんだよ! どうしてうまくつくれないのか!」と、イライラしてしまうのである。なんとも情けないし、Macのほうでも、無理やり元妻のレシピを押し付けられて、嫌気が差していただろう。「知らないわよ、あんたが勝手に、長年連れ添った奥さんを捨てて私のところへ来たたんでしょ」という感じである。

   そこで今度は、若くてキレイな恋人、Macに、外付けでWindowsのキーボードをつなげてやった。ディスプレイも見やすい別の物を買ってきて繋いだ。

   きらびやかなMacは完全に観賞用となり、私はすべてをWindowsで済ませる生活に戻ったのだ。やはり元妻、ビル・ゲイツより素晴らしいパートナーはいなかった。最初から浮気などせずに、ビル・ゲイツの元へとどまるべきだったのだ。ジョブズの美しさもいいが、ゲイツを失ってから、その空気のような快適さに気がついた次第である。

   Macユーザーからすれば「こんなに美しいMacが使いこなせないなんて......」と思われるだろうが、私にとってこの体験は、恋愛よろしく感覚的なものだったから、仕方ない。ああ、今日も手に馴染むWindowsで、私は糟糠の妻との穏やかな日常を噛み締めている。(北条かや)

北条かや
北条かや(ほうじょう・かや)
1986年、金沢生まれ。京都大学大学院文学研究科修了。近著『インターネットで死ぬということ』ほか、『本当は結婚したくないのだ症候群』『整形した女は幸せになっているのか』『キャバ嬢の社会学』などがある。
【Twitter】@kaya_hojo
【ブログ】コスプレで女やってますけど
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