日本銀行は2017年7月20日の金融政策決定会合で、2%の物価上昇目標の達成時期を、「2018年度ごろ」から「19年度ごろ」に1年先送りした。
達成時期の延期は、16年11月以来で6度目。黒田東彦総裁の任期は18年4月までで、この任期中の目標達成を断念した。消費者のデフレ心理は根強く、小売店が販売価格の値上げに動きにくい状況が続いている。携帯電話や通信料金の値下げも影響した。
景気判断「緩やかな拡大に転じつつある」に上方修正
黒田総裁は2013年の就任時に、2%目標を「2年程度」で達成すると宣言していた。
金融政策決定会合では、景気回復を理由に追加の金融緩和を見送り、長期金利をゼロ%程度に誘導する現行の金融緩和策を継続することを決定した。
また、「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」によると、2017年度の消費者物価(除く生鮮食品)の上昇率の見通しを、4月時点の1.4%から1.1%に引き下げ。18年度についても1.7%から1.5%に下方修正した。19年度は消費税率の引き上げの影響を除き、1.9%から1.8%に引き下げた。景気判断は「緩やかな拡大に転じつつある」を「緩やかに拡大している」に上方修正した。
経済成長率の予測は、17年度が実質ベースで従来の1.6%から1.8%に、18年度は1.3%から1.4%に、それぞれ上方修正した。好調な外需がけん引役となり、生産や輸出が増加基調にある。雇用情勢の改善で消費も底堅さを増していると判断した。