石油元売り大手、出光興産の公募増資をめぐり、新株発行の差し止めを求める仮処分を申し立てていた出光昭介名誉会長ら創業家は2017年7月18日、東京地裁が同日に下した請求を却下する決定を不服とし、東京高裁に即時抗告した。
一方、東京地裁の決定を受けた出光興産の経営側は、創業者側の即時抗告に、「引き続き、本新株式発行の適法性を主張・立証し、対処してまいります」とし、20日に公募増資を実行する方針を示した。
東京地裁「新株発行は著しく不公正な方法ではない」
出光興産は7月18日、創業家側が即時抗告を行ったとの通知を受け取ったと、公式サイトで発表した。創業家側の申し立てについて、「本申立てが認められる理由はないものと考えて」いるとし、「東京地方裁判所による却下決定は、本新株式発行の適法性を認めていただいたものと受けとめております」とコメントしている。
同社は7月3日の株主総会で、公募による普通株式 4800 万株の発行を決めた。新株発行が実施された場合、創業家が保有する出光株の持ち分比率は33.92%から26%程度まで下がり、重要議案を否決できる3分の1超を下回る。
これに対して、昭和シェル石油との経営統合に反対している自分たちの持ち分比率を減らすため、経営陣が新株発行を推し進めようとしていると危惧した創業家側は7月4日、東京地裁に新株発行の差し止めを求める仮処分を申し立てていた。