自動販売機の設置台数、世界一を誇る「自販機大国」日本。いまや独自の文化ともいえる存在の自販機だが、ここ数年の進化には目を見張る。
なかでも主力の飲料自販機は、省エネや電子マネー、ポイントカードの利用に加えて、マーケティング、プレゼントキャンペーンへの対応と幅広い機能を搭載。最近はコンビニエンスストアやファストフードの「100円コーヒー」などに押されているが、多種多様な機能を備えた自販機がお目見え。飲料メーカーが巻き返しを図っている。
自販機、ライバルはコンビニ、ファストフード
飲料の自販機の国内設置台数はここ数年、減っている。日本自動販売システム機械工業会の「自販機普及台数および年間自販金額 2016年版」によると、2016年12月末の飲料自販機の普及台数は、前年比2.9%減の247 万4600台。自販機全体(約49万台)の50%に相当する。
設置台数が減った要因は、主に飲料業界の再編の影響などによる使用年数の増加や、コンビニエンスストアのカウンターコーヒーやファストフード、ディスカウントストアなどとの競合激化に加えて、自販機の売り上げ減少で、飲料メーカーの自販機への投資意欲が著しく低下しことなどがあげられる。
それに伴い、売上高も減少。飲料自販機の2016年の売上高は、2兆298億200万円だった。
そうしたなか、飲料メーカーの自販機が攻勢に転じている。
日本コカ・コーラは、環境にやさしいピークシフト自販機を展開。東日本大震災を契機に開発された省エネ機能で、夜に冷やして、自販機の中にある蓄冷剤による持続効果によって日中でも冷たい飲料を提供できるようにした。大きな自販機が、扇風機の半分以下の電力で、かつ音も静かという。
また、「買う」「飲む」「楽しむ」シーンを提供するスマホアプリ「Coke ON」に対応した「スマホ自販機(R)」は、設置台数が2016年11月末時点で10万台を超えた。「Coke ON」は、スマホ自販機(R)の利用でスタンプをためて好きな飲み物と交換できるプログラムなどがあり、認知度の向上とともに利用者数も伸長。リピーター効果も高まっている。
さらに2015年12月からは、15の言語に対応する自販機の多言語対応を開始。東京五輪・パラリンピックが開催される2020年までに、全国で8万台の導入を目指している。