神奈川県箱根町で開かれた、米国を除く環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)参加11か国の首席交渉官会合が2017年7月13日閉幕。離脱を表明している米国に引き続き参加を促すことを含め、今後は早期発効に向けて調整に入る方向でまとまった。
そうしたなか、帝国データバンクが14日に発表した「TPP11に関する企業の意識調査」によると、企業の44.4%が米国のTPP離脱は「日本にマイナス」と答えた半面、51.7%が「日本に必要」と考えていることがわかった。どこか玉虫色で、判断しかねているようすがうかがえる。
飲食業、ホテル、「プラス」の影響を期待
帝国データバンクのTPP11に関する企業意識調査は、2017年6月19日~30日に実施。TPPに関する調査は2010年12月、15年12月に続く3回目。対象は全国2万3927社で、有効回答企業数は1万45社(回答率42.0%)だった。
それによると、企業の51.7%が、TPP11が「日本にとって必要」と回答。ただ、自社が所属する業界にとって必要か聞いたところ、「必要だと思う」と答えた企業は22.5%にとどまった。「必要だとは思わない」は32.6%で、「必要」が10.1ポイント下回った。また、「わからない」が44.9%を占めた。
「必要だと思う」は、TPP大筋合意直後の前回調査と比べて7.2ポイント減少。米国が離脱したTPP11の必要性をとらえかねている様子が浮き彫りになった。 TPP11の自社への影響では、「プラスの影響がある」と答えた企業が12.8%で、「マイナスの影響がある」(5.6%)を上回ったものの、「影響はない」が38.9%、「わからない」が42.7%を占めた。
これを業種別でみると、「プラスの影響があり」とした業種のトップは「飲食店」の41.9%だった。「旅館・ホテル」(29.2%)、「飲食料品・飼料製造」(22.3%)、「機械製造」(21.9%)と続いた。一方、「マイナスの影響がある」としたのは「農・林・水産」の50.9%がトップだった。
具体的な影響をみると、プラス面では「原材料コストの低下」(38.4%)がトップ。「輸出の増加」(32.5%)や「売り上げや利益の増加」(31.4%)と続く。マイナス面では「販売価格の低下」が26.9%でトップ。次いで、「新規参入の増加による競争の激化」が25.5%だった。