経営再建中の名古屋の老舗劇場、御園座は、現在建築中で2018年4月に開業する新劇場の公演演目(4月~9月)を2017年7月10日に発表した。
従来どおり、歌舞伎や歌謡ショーを中心に据えつつも、「アニメ」「ジャニーズ」「ミュージカル」――と、新たな「花形」候補を加えたラインアップをそろえた。
「再スタート」に期待集まる
こけら落としとなる2018年4月公演(1日~25日)は、歌舞伎俳優の松本幸四郎改め二代目松本白鸚(はくおう)さん(74)と、長男の市川染五郎さん改め十代目松本幸四郎さん(44)の2人による親子襲名披露興行となる。
5月以降は、市川猿之助さん(41)演出・主演で人気アニメを歌舞伎にした「スーパー歌舞伎II(セカンド)『ワンピース』」のほか、ジャニーズ事務所所属のアイドルで俳優の滝沢秀明さん(35)が座長を務める「滝沢歌舞伎2018」(6月)や舟木一夫特別公演(7月)、8月には志村けん一座によるバラエティーショー「志村魂」、ミュージカル「モーツァルト!」など計10本の演目を予定している。
御園座をめぐっては、2012年末に5億5300万円の債務超過に陥り、翌13年2月に私的整理の手法である事業再生ADR(裁判以外の紛争解決)を利用した。同年3月に旧劇場(御園座会館)を閉館し、5月には旧劇場を売却。その後は再建に向け出資を募るなどし、17年3月に売却した土地部分を買い戻した。6月には新劇場の開業資金を募るため、第三者割当増資で3億100万円を調達することを発表している。
現地では一部が分譲マンションとなる40階建てビルを建設中で、新劇場はこのビルの中に整備される。客席数は旧劇場から約300席減の1302席。これまで禁止していた客席での飲食を認める。