「縁故」採用のなにが悪い! 社長、問題はそこじゃない(江上剛)

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「縁故上司」にぶち当たった悲劇、ところが......

   以前、勤めていた職場の銀行でイヤな上司がいました。本当にイヤな奴で、いま思い出してでも虫唾が走ります。

   彼は、仕事はまったくできない、ケチ、部下を追い詰めるなど最悪で、取柄はいつも自分で自慢する「過去のA頭取の親戚」ということだけでした。

   周囲は、その言葉を忖度して、彼の無能を放置したものですから、ますます図に乗ってどうしようもありませんでしたね。

   順調に出世していたのですが、あまりにひどいものですから、支店で彼の部下であった私は、彼を夜の食堂に呼び出して文句を言い、怒鳴り合いの喧嘩をしました。彼は、驚き、慄き、私の人事評価を最低に引き下げましたが、私のことを理解してくれた支店長などに助けられたお陰で私は事なきを得ました。彼はその後転勤して行きましたが、結局のところ、やはり行く先々で問題を起してダメになりました。

   そんな経験があります。その時は、「縁故採用」の被害をまともに受けました。しかし、このようなことは例外でしょう。人手不足の今日、あなたの会社の仕事を理解してくれる人なら、縁故だろうが公募だろうが気にすることはありませんよ。

   いっそのこと、縁故大歓迎とでも打ち出せば、評判を呼ぶかも知れません。(江上剛)

江上 剛
江上 剛(えがみ・ごう)
作家。1954年兵庫県生まれ。早稲田大学卒業後、第一勧業銀行(現・みずほ銀行)入行。同行築地支店長などを務める。2002年『非情銀行』で作家としてデビュー。03年に銀行を退職。『不当買収』『企業戦士』『小説 金融庁』など経済小説を数多く発表する。ビジネス書も手がけ、近著に『会社という病』(講談社+α新書)がある。
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