2016年度の公的年金の積立金の運用益が7兆9363億円に達した。公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が、2017年7月7日に発表した。
5兆3098億円の運用損を計上した15年度から一転して、2年ぶりに黒字に転じた。世界的な株高の恩恵を受け、保有している資産が大きく膨らんだ。
国内株式、外国株式ともに黒字
GPIFによると、運用資産は16年度末時点で、過去最大の144兆9034億円。運用利回りは年5.86%のプラスだった。
GPIFは、資産の5割弱を国内株式と外国株式で運用している。2016年度後半は、米トランプ大統領の就任以降、景気拡大への期待が高まったことから、世界的な株高に転じた。
運用益を資産別にみると、国内株式が4兆5546億円の黒字と最も大きく、外国株式は4兆3273億円の黒字だった。
一方、国内債券は3958億円の赤字、外国債券は5962億円の赤字。米国などでの長期金利が上昇(債券価格は下落)したことを背景に、国内外ともに運用損を計上した。
GPIFには、資産の構成割合を定めている。国内株式、外国株式はそれぞれ25%を目安に投資できる。16年度末の割合は、国内株式が23.28%、外国株式が23.12%まで上昇した。株式の割合が増えていることで価格変動リスクが高まっており、株安に転じたときに再び赤字に陥る可能性もなくはない。
また、GPIFが保有する国内株式のトップは、トヨタ自動車(時価総額1兆2022億円)。三菱UFJフィナンシャル・グループ(8222億円)、NTT(5983億円)、ホンダ(5334億円)、三井住友フィナンシャルグループ(5323億円)と続く。
経営再建中の東芝も、約3億株を保有していることを明らかにしている。