ゆうちょ銀行と地銀、対立の歴史終わるのか 各地で着実に深まる「協力関係」

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ゆうちょ銀行、出資攻勢で「大盤振る舞い」

   実際、ゆうちょ銀行と地銀の関係は、明らかに軟化している。

   顕著なのが、「共同」ファンドだ。金融庁がゆうちょ銀行に投資基金への出資を解禁したことに伴い、地方経済の活性化などを目的とした地銀のファンド(基金)などに、ゆうちょ銀行が出資するケースが相次いでいる。

   ゆうちょ銀行は2016年6月の熊本地震の復興支援ファンドをはじめ、同11月には北海道の北洋銀行と共同でファンドを立ち上げ、また肥後銀行と鹿児島銀行を傘下にもつ、九州フィナンシャルグループ(FG)が運営するファンドにも出資。さらに2017年4月には、日本産業推進機構(東京都港区)が16年10月に設立した「中部・北陸地域活性化投資事業有限責任組合」への出資を発表。このファンドには愛知県の中京銀行や愛知銀行、三重銀行などの地銀・第二地銀が出資している。この6月には、滋賀銀行と共同で企業支援ファンドを創設した。

   ファンドのほかにも、ATMで連携。ゆうちょ銀行が出資する日本ATMビジネスサービスに、ATMの運用や監視を委託する地銀が増えている。ゆうちょ銀行(郵便局)での「銀行代理店」(預金や融資の取次業務)を活用する動きも広がる可能性がある。佐久間会長も、「地方銀行の効率化、業務コストの削減につながる。合理的なことだと思うし、そういう動きも出てくるのではないか」と話し、ゆうちょ銀行との連携は個別銀行の問題と、意に介していないようすだ。

   ちなみに、現在のゆうちょ銀行の池田憲人社長は、2003年11月に経営破たんした足利銀行(栃木県、現めぶきフィナンシャルグループ傘下)の頭取として再建に奔走。それ以前は横浜銀行で常務・最高人事責任者(CPO)を務めた人物。地銀とのパイプは太い。

   少子高齢化による人口減少や産業空洞化の影響は、北海道や東北、中国・四国、九州と地方ほど早いペースで進行、かつ深刻度が増している。地域経済が沈没する前に手を打ちたい地銀に、ゆうちょ銀行の足音はひたひたと近づいてくる。

   「地域金融機関とは、今後あらゆる観点から一層協力したい」――。ゆうちょ銀行の池田憲人社長の言葉である。

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