ゆうちょ銀行と地銀、対立の歴史終わるのか 各地で着実に深まる「協力関係」

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   「郵貯の民業圧迫」を旗印に、これまで「国営」だったころから対立してきた地方銀行とゆうちょ銀行の距離が、じんわり、しかし着実に縮まっている。

   地方創生への取り組みやマイナス金利時の資金運用、フィンテックの活用、「お客様本位」の業務運営の確立と定着に行内の「働き方改革」への対応と、地銀が抱えている課題は少なくない。しかし、業界が毎年掲げてきた大きなテーマ「郵政民営化への対応」が2017年、はずれた。

  • ゆうちょ銀行と地銀、雪解けムード……
    ゆうちょ銀行と地銀、雪解けムード……
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「建前」と「本音」の両にらみ

   全国64の地方銀行をまとめる、全国地方銀行協会の会長に、千葉銀行の佐久間英利頭取が就任した(任期1年)。5年ぶり、2度目の「登板」で、2017年6月14日には日銀記者クラブで就任会見が開かれた。

   その会見で、これまで会長の所信表明に毎回入っていた「郵政民営化への対応」が、今回ははずれていたのだ。

   2万4000を超える店舗網(郵便局)と、郵便・小包、保険商品とのワンストップでまかなえる顧客利便性のよさ、国の信用力を背景とした商品販売力で、民間銀行と比べて大きなアドバンテージをもつ、ゆうちょ銀行。さらに今夏は、個人向けの無担保融資が認可されるなど、じわじわと民業を浸食している。

   長年にわたり反目し、「民業圧迫」を訴え続けてきた地銀だが、その旗印を下したとも受け取られかねない発言が、佐久間会長からあった。

   郵政民営化にふれなかった佐久間会長に、記者が「今回(郵政民営化への対応が)はずれているのは、なにか背景があるのか」と質問。

   佐久間会長は「ゆうちょ銀行を抜き出していないが、政府系金融機関という中に含んでいるというふうにご理解をいただきたい」と答えた。

   佐久間会長はこの質問の前に、不正融資が問題になった、政府系金融機関の商工中金問題にふれていた。そこで、政府系金融機関は「民業補完」に徹するよう求め、「話し合いを持っていきたい」と強調していた。

   記者は質問を続ける。「これまで、完全民営化に向けた具体的な道筋の明示や、公正な競争条件の確保といった、ゆうちょ銀行に対する姿勢が軟化しているということか。あるいは優先順位が下がってきているということか」。

   佐久間会長は「(融資業務への進出などで、ゆうちょ銀行は)地方銀行と協調したいというような姿勢であると受けとめている。要求するところはこれまで通り。地方創生や地域活性化に向かって共同できるところは協力していくという姿勢で、両にらみしながら対応していく」と、なにやら玉虫色の発言に終始した

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