高級車は結婚生活には荷が重い
そんな記憶があるせいか、先日、関西の田舎を走って驚いた。日産やトヨタの大衆車が前を通り過ぎ、軽自動車もたくさん走っている。ここでは誰も張り合ってなどいない。クルマは単なる移動手段に「成り下がり」(もちろん、よい意味だ)、人を載せて走っているだけ。見栄やプライドなどみじんも感じない。思わず「なんだか安心する」と口走った。同行の友人は東京出身で、それを聞いて不思議に思ったらしい。
「東京って、そんなに高級車が多い?」と聞くので私は、「うん。多いよ。東京ではみんながクルマを見せびらかしているみたいで、居心地が悪い」とバッサリいってしまった。きっと友人は、気分を害したと思う。すみません。が、私にとってやっぱりクルマは移動手段にすぎないから、高級車が闊歩する都心にいると、妙にそわそわしてしまうのだ。
結婚相手が所有していた高級車は、その後、生活苦から手放すことになった。毎月のローンにハイオクのガソリン代、ウン万円もする駐車場代が、結婚生活には重荷すぎたのだ。売却後も、100万円を超える「高級ローン」だけが残ったのは苦い思い出である。(北条かや)