オフィス用品通販大手のアスクルの2017年5月期連結決算は、2月に発生した物流倉庫の火災の影響が色濃く残った。
アスクルが2017年7月4日に発表した17年5月期連結決算によると、売上高は3359億1400万円で、前期比6.6%増と過去最高を記録したものの、純利益は80.7%減の10億1400万円と大幅な減益となった。営業利益は4.1%増の88億6500万円を確保した。
2019年にV字回復目指す
アスクルは、埼玉県三芳町の倉庫火災による特別損失を112億5000万円計上したものの、火災事故に係る保険金49億2900万円を受け取ったことから、「最終赤字は回避することができた」としている。
ただ、2019年5月期の「V字回復」を目指すと宣言。18年5月期を「攻めの年」と位置付けた。初の「LOHACO」専用センター「AVC日高」と、最大の新型センター「AVC関西」の立ち上げ、自社グループによる配送の拡大などによって、商品数の増加や物流の最適化、出荷能力の強化を目指す。
それらの投資や火災の影響から、18年5月期は、売上高は成長を維持するものの、営業利益と経常利益は大幅な減益を見込む。通期で、売上高は3650億円(8.7%増)、営業利益は35億円(60.5%減)、経常利益で30億円(66.2%減)、当期利益は47.8%増の15億円と予想した。
しかし、19年5月期には、それらの新物流センターの稼働率向上や固定比率の改善によって業績上昇が見込まれ、過去最高益を上回る利益水準への回復を目指す。
また、倉庫火災を受けて、アスクルでは岩田彰一郎社長を委員長とする再発防止委員会を発足。初期消火対応のマニュアル化や消防訓練、消火設備の確認や管理体制の強化を実施している。