自己破産せずに借金を大幅に減らせる「個人版民事再生手続き」の利用者が増えている。中間層で、借金の返済が滞るケースが目立つという。
個人版民事再生は、2001年に施行。サラリーマンなどの個人が住宅などの資産を維持したまま、生活を再建できる。債務額を大幅に圧縮したうえで、原則として3年間で返済する。認知度が低いため、自己破産に比べて利用者はまだ少ないが、申し立て件数は増えている。
中間層でも生活が苦しい人が増えている......
個人版民事再生手続きが増加している理由について、兵庫県弁護士会に所属する辰巳裕規弁護士は2017年7月4日、J‐CASTニュースの取材に「中間層に位置する会社員などで住宅ローンの返済が滞ったり、銀行カードローンなどを使って多額の借金を抱えてしまったりすることが考えられる」としている。
一般的に、中間層が住宅ローンの返済で困っているイメージは少ないが、辰巳氏によれば、「中間層でも、所得が伸び悩み、生活が苦しい人が増えているのではないか」という。そのため、民事再生を申請する人がいるとみている。
最高裁判所によると、2016年の個人版民事再生の利用実績は、前年の8477件から1125件(13.3%)増えて9602件。2年連続の増加となった。